ムールティ家の味守って59年間 純印度料理店「アジャンタ」

2013.08.08


純印度料理店「アジャンタ」【拡大】

 純印度料理店「アジャンタ」の歴史は、1932(昭和7)年、創業者ジャヤ・ムールティの兄であるラーマ・ムールティがネパール国王の秘書として世界宗教会議に参加するために来日したことに始まる。

 ムールティ家は、もともとカースト制度にあって王族や武士のクシャトリヤの位であった。

 そのまま日本に残ったラーマは、貿易商を営みながら、マハトマ・ガンジーの「反英不服従運動」に一身を投じたインド独立運動家チャンドラ・ボースを支援する日本の代表となった。インドは47(昭和22)年8月15日に独立する。

 兄ラーマの勧めに応じて南インドから日本にやってきた弟ジャヤが、54(昭和29)年、東京・阿佐ヶ谷にカレーとコーヒーの店「喫茶アジャンタ」を開店。南インドはコーヒー豆の生産地でもあったからだが、当時は本場のカレーが珍しく、たちまち評判となる。

 ジャヤは母サンジィーヴアンマを早くに亡くしたが、母から料理を教わっていて、父と5人兄弟妹一家の食事担当としての腕を積んでいた。それがムールティ家の家庭料理であった。

 61(昭和36)年、「より本格的なインド料理のお店を開きたい」と東京・九段の一軒家に移転、「純印度料理店アジャンタ」を正式店名とした。

 スパイスなど手に入りにくい時代だったが、粒状の8種類のホールスパイスをインドから直接取り寄せ、それを空煎りしてパウダーにする自家製ガラムマサラを作るなど、ムールティ家のレシピを忠実に再現した。母の味である故郷「南インドの純粋な家庭料理」にジャヤはこだわった。

 85(昭和60)年に現在の麹町に移ってからも日本人向けのアレンジは一切していない。

 ムールティ家の三大カレーといわれるチキン(1680円)、マトン(1785円)、キーマ(鶏肉の自家挽き1680円)は、使うスパイスのブレンドが違い、それぞれの素材の深い味わいを生かしたワイルドでシンプルだが、手間ひまがかかった逸品である。特にマトンは、アンドラ地方の濃厚な激辛カレーで、これぞムールティ家の自慢の味である。

 現在、ジャヤの息子のジェイ・ムールティさん(59)とインド家庭料理研究家でもある小枝さん夫妻が、“祖母の味”を守る。 (谷口和巳)

 ◆アジャンタ 東京都千代田区二番町3の11 (電)03・3264・6955

 ■谷口和巳(たにぐち・かずみ) 団塊世代の編集者。4つの出版社を転籍、19の雑誌に携わり、編集長として4誌を創刊。団塊世代向け月刊誌『ゴーギャン』元編集長。『女優森光子 大正・昭和・平成−八十八年激動の軌跡−』『帝国ホテルの流儀』(共に集英社)などの書籍も手掛ける。

 

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