【日本の解き方】BRICS経済危機の深刻度 中国の成長に限界…先進国に影響も

2013.08.30

 インドなど新興国の通貨下落が続いている。米量的緩和の縮小観測がきっかけとの見方もあるが、新興国経済を取り巻く現状はどうなっているのか。そして、日本など先進国への影響はどうなるか。

 BRICSといわれる国がある。経済発展が著しいブラジル(Brazil)、ロシア(Russia)、インド(India)、中国(China)、南アフリカ共和国(South Africa)の頭文字を合わせた5カ国だ。

 ただし、この5カ国の中身はちょっと異なる。

 2012年の国内総生産(GDP)をみると、ブラジル2兆2527億ドル(世界174カ国中7位)、ロシア2兆148億ドル(8位)、インド1兆8417億ドル(10位)、中国8兆2271億ドル(2位)、南アフリカ3843億ドル(26位)といずれも経済大国だ。

 ただ、1人当たりGDPを見ると、ブラジル1万1340ドル(53位)、ロシア1万4037ドル(41位)、インド1489ドル(132位)、中国6091ドル(79位)、南アフリカ7508ドル(65位)とばらつきがある。

 ちなみに、日本は、GDPで5兆9597億ドル(3位)、1人当たりGDPで4万6720ドル(12位)だ。

 BRICSの1人当たりGDPはここ10年間で毎年平均10%以上の伸びを示しているが、インドの水準は低い。経済成長の一つの壁である1万ドルを超えているブラジル、ロシアと、5000ドルを超えて1万ドルに挑もうとしている中国、南アフリカ、そして低所得国のままのインドという構図だ。

 ロシア、中国、南アフリカではインフレ率は3〜5%程度と安定している。ブラジルは2ケタ近かったが、最近は落ち着いている。ところが、インドは2ケタを超える伸びだ。インドの通貨下落は、この高いインフレ率が背景になっている。

 最近、ノーベル賞経済学者のクルーグマン・プリンストン大教授が面白い説を唱えている。中国経済は「ルイス転換点」にぶつかってしまったというのだ。

 経済学者アーサー・ルイスによると、経済発展の初期の段階にある国々は、小さな近代的セクターと、大規模な農民を抱える大きな伝統的セクターからなっていて、この農民という「余剰労働力」が近代的セクターに移行し、経済発展するというものだ。

 ところが、中国では農民の余剰がなくなったため、人口要因での経済成長は限界を迎えた。それを突き破るには、経済構造の変革などの「余剰労働力」ではない別の要素が必要になるという。

 ここで待ち受けるのは経済停滞である。問題は、それが世界経済に与える影響だが、中国は経済大国なので、その影響が少なからずある。しかも、時期が悪いことに、欧州経済が不景気に陥っている。

 インドは「ルイス転換点」にまだ達していないが、あと10年程度でその時期を迎えるだろう。となると、中国がここ10年程度で「ルイス転換点」を通過しないと、日本など先進国経済は重荷を背負うことになる。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

 

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