原発汚染水、実は自民も対策とらず… 現場のことは東電任せ

2013.09.01

 東京電力福島第1原発の貯蔵タンクから高濃度の放射性物質を含んだ汚染水300トンが漏れた問題は、非常に深刻だ。海に流れた汚染水が黒潮に乗って流れてくることを、(ビキニやエニウェトクで大規模な原水爆の実験をやって太平洋を汚染した自分たちの歴史を忘れたかのように)米国も大々的に報じている。

 タンクに貯蔵されている汚染水は、原子炉建屋へ流入した地下水と、核燃料の溶けた冷却水が混じったもの。1日に約400トンも発生して、2日半でタンク1基が満杯になってしまう。タンクを2日半に1基ずつ作ったとしても、もう敷地もないという状況だ。海に行かないようにするという防御策も難しい。

 抜本的な解決策としては、単純に冷却水を循環させて使うことが一番いい。現在、懸命に冷却水を濾過(ろか)しているが、これを汚染されたまま温度だけ下げる方法、つまり熱交換器を入れることに切り替えたほうがいい。

 ただ、この方法も、工事をしなくてはならない原子炉建屋の中の放射線量が人間が近づけないようなレベルになっているので、非常に難しい。

 原発事故後、私は世界中から専門家を集めて事態にあたることを政府に進言した。しかし、これはまったく実現していない。当時の民主党政権は自分たちで収束できると思っていた。

 一方、自民党政権も実は何もやっていない。私は自民党の政調会で50人以上の議員を前にして、政権奪取後100日以内に原発事故の対策を国民に発表するよう求めた。「これをやらないと、原発再稼働に賛成する国民は増えない」と言った。

 このとき、「では、この人とこの人を原発事故担当にします」と言ってきたのだが、それらの担当者は今日に至るまで、まったくその仕事をしていない。

 私は東電の原子力改革監視委員会の委員だったが、メンバーに元米国原子力規制委員長のデール・クライン氏らがいた。これに加えて、現場をよく知る人材を世界中から集めて“ドリーム・チーム”を作ることができたら、今回のような問題が起きても、いろいろなアイデアが出てきたと思う。

 茂木敏充経済産業相は26日、福島原発視察後に「汚染水対策はモグラたたきのような状況。今後は国が前面に出る」と語り、今年度予算の予備費を緊急投入することを明らかにした。さらに、経産省に汚染水対策担当の局長級ポストを新設し、東電に対しタンクの管理体制強化や水漏れしにくいタイプへの切り替えなど5項目を指示した。

 しかし、国が前面に出るといっても、現場のことになると東電に「お前らで解決しろ」と言っているだけだ。東電にはそんな対応能力はない。

 米国には放射能に対応できる海兵隊(CBIRF)やフォートレオナードウッドの訓練機構がある。こうしたところで特殊な訓練を受けた人の助けを借りたり、ロボットに熱交換器を入れさせたりするぐらいのことをやらないといけないと思う。

 ■ビジネス・ブレークスルー(スカパー!557チャンネル)の番組「大前研一ライブ」から抜粋。

 

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