「歴史認識」出来てないのは中韓だけじゃない 米、露、日本も…

2013.09.08

 国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は先月28日、オランダ・ハーグの会合で松山政司外務副大臣に対し、歴史認識で日本の指導者に反省を求めた自身の発言について、「日本のみに指摘したのではない。日中韓3カ国の指導者は、過去に起きたことをしっかり理解し、克服していくべきだ」と釈明した。

 この釈明は偽りだろう。国連事務総長として言ってはいけないことを言って、日本からの反発も強かったので、「日本だけでなく、ほかの国も」とごまかしたわけだ。

 ただ、私は潘さんの発言とは別の意味で「歴史認識ができていないのは、すべての国に共通している」と考えている。

 たとえば、韓国。朴槿恵(パク・クネ)大統領の父・朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領は、「前に進むために、日本統治時代などの問題はすべて清算しよう」と1965年、日韓基本条約を結んで日本と国交を回復した。

 このとき、過去のことで日本を非難するのはやめようということになった。そして、日本からの援助金や技術で「漢江の奇跡」といわれる驚異的な経済成長を達成した。日本が歴史の精算・賠償が終わっている、と理解しているのはそのためである。日韓両国はそこからスタートしている。そういった歴史の事実を韓国側はきちんと認識していない。特に現大統領は当事者の娘なのだから、この歴史も直視してほしい。お互い、ボタンを掛け違えていがみ合っている場合ではない。

 一方、中国共産党も「抗日戦争で勝利したわれわれが人民を解放した」ということを自分たちの存立理由にしている。しかし、これも事実ではない。抗日戦争に勝利したのは、蒋介石の国民党軍だ。

 大戦中の43年、ルーズベルト米大統領の要請でカイロ会談に参加したのも蒋介石だ。当時、毛沢東は揚子江(長江)の上流に「長征」していた。共産党が蒋介石を台湾に追いやって中国大陸を統一したのは1948年、戦争が終わって3年もしてからだ。中国もこの歴史を直視してほしい。

 この夏、あのオリバー・ストーン監督のドキュメンタリー『もうひとつのアメリカ史』がNHKのBSで放送されていたが、米国も例外ではない。広島、長崎に原爆を落とした理由も、実は言われているような「戦争を早く終結し、連合国の数十万人の命だけでなく、数百万人の日本人の命も救った」ということではなく、当時の米国にとって最大の脅威だったソ連が参戦して日本の北部を一方的に占領する動きを封じるためだった、という説が最近では有力だ。

 米国もロシアも都合のいい歴史を自国民に教えているわけだ。日本だって歴史認識が苦手なことに変わりはない。

 かつて田中角栄・周恩来会談で戦後の賠償は蒋介石との間ですでに終わっている、とする日本に対して「過去にさかのぼって合意するのは大変なので、前向きのことをしよう」と、尖閣問題については棚上げにしてODAで援助を、という決着をしている。中国側からすれば、「棚上げしたのに、なぜ国有化するのか」という話になる。これもまた、歴史をどの段階から見るかによって、全然違うものになってくるわけだ。

 条約などの文章にもなっていない密約が「歴史だ」という中国と、それは田中派利権の温床で認められない、という反田中派右代表の安倍晋三氏+石原慎太郎氏という面々では、そもそも見ている歴史が違うのだ。両国の歴史家、学者が間に入って、もつれた糸をほぐしてくれることを切望する。

 ■ビジネス・ブレークスルー(スカパー!557チャンネル)の番組「大前研一ライブ」から抜粋。

 

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