“洗濯ものを目で洗う”帝国ホテルのランドリーサービス

2013.09.26

 「シャツを洗濯に出したい。できれば帝国ホテルのランドリーに」

 これは1995(平成7)年に公開された映画『JM』の中でキアヌ・リーブスが口にしたせりふである。彼が帝国ホテルに滞在した際、ランドリーのサービスに感心して、アドリブで出たのだそうだ。

 帝国ホテルに「洗濯部」ができたのは、1911(明治44)年のこと。大きなカバンを3つも4つも手にした船旅の時代、海外からの旅行客にもっとも喜ばれたのが衣類の洗濯だった。

 帝国ホテルにはディナーショーやバイキング料理などいろんな“日本で初めて”があり、ホテルにおけるランドリーサービスもその一つ。今年で102年になる。

 洗濯ものは地下1階にあるランドリー室で、まず衣類の素材、汚れ、シミ、キズ、穴などを徹底的にチェックする。

 ボタンに至っては、「注意ボタン見本」があり、割れやすい貝類や変色する革のボタンなどは洗濯前に取り外す。その際、元通りに付け直して戻せるようにボタンの位置、縫い付け具合、順番や配列などスケッチしメモしておくほどの徹底ぶり。

 「この検品がいちばん重要な仕事です」というのは、宿泊部客室課ランドリーのアシスタント・マネジャー浅野昭夫さん(39)。帝国ホテルのランドリーは「洗濯ものを目で洗う」といわれる由縁である。

 万一のことを想定して、約200種類のボタンや糸も取りそろえてある。熟練した職人でないと扱えない重さ4、5キロの電気アイロンは、半世紀にわたり使用されていまなお現役だ。

 洗い場1年、アイロン1年、ドライクリーニング1年、ホフマン(ドライ仕上げ)1年の経験を積み、初めて一人前になる。この道一筋45年の栗林房雄さん(64)をはじめ、総勢35人のランドリースタッフは、帝国ホテルを“裏方”で支える。

 料金は、スーツ上下の場合、プレス2100円、ドライ3465円。ハンカチ1枚210円だけでもOKである。

 洗濯するためにホテルを予約する客もいて、中には「衣替えの季節になると、10着、20着と持ち込まれるお客さまもいらっしゃいます」(浅野さん)。

 となれば、帝国ホテルのランドリースタッフは、もはや裏方ではない。 (谷口和巳)

 ◆帝国ホテル 東京都千代田区内幸町1の1の1(電)03・3504・1111

 ■谷口和巳(たにぐち・かずみ) 団塊世代の編集者。4つの出版社を転籍、19の雑誌に携わり、編集長として4誌を創刊。団塊世代向け月刊誌『ゴーギャン』元編集長。『女優森光子 大正・昭和・平成−八十八年激動の軌跡−』『帝国ホテルの流儀』(共に集英社)などの書籍も手掛ける。

 

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