「西洋の驚異」モン・サン・ミシェル 挑戦する人間の偉大さ実感

★モン・サン・ミシェル

2013.10.25


「ラ・メルヴェーユ」と呼ばれる回廊中庭【拡大】

 ノルマンディー地方のモン・サン・ミシェルは、かつて大天使ミカエルが降り立ったと伝えられる聖なる山で、岩山全体が修道院としてあがめられてきたフランスで最も有名な巡礼地です。

 花崗(かこう)岩質の岩山であるモン・サン・ミシェルは海岸から1キロほど沖に突き出ており、周囲900メートル、高さ76・8メートルの小島です。そしてこの小島のあるサン・マロ湾はヨーロッパでも潮の干満の激しい場所として知られています。

 干潮時には陸続きになるものの満潮時には激しい潮の流れに囲まれ、最も大きい潮が押し寄せる満月と新月の前後には引き潮が猛烈な速度で押し寄せる。このためかつては多くの巡礼者が潮に飲まれて命を落とし、「モン・サン・ミシェルに行くなら、遺書を置いていけ」という言い伝えもありました。

 しかし、近年、モン・サン・ミシェルは堤防によって結ばれ、潮の満ち引きに関係なく訪れることができるようになった。半面、この堤防のせいで砂が沈殿、堆積し、ぐるりと海水で囲まれることは稀となってしまいました。

 私がこのモン・サン・ミシェルを知ったのは、学生時代に見た映画「ラストコンサート」の冒頭のシーンに映し出されたからです。オープニングで美しいメロディーのピアノ曲が流れ、主人公である白血病の少女ステラと人生に挫折したピアニストの出会いの場としてモン・サン・ミシェルが登場したのです。

 この映画は主人公が白血病で亡くなるという悲しい結末を迎えるのですが、なぜか「人生って素晴らしい」ということを実感させてくれたのです。

 そこで、私はこの地に行きたくなり、フランスのツアーを企画して、パリから350キロも離れた当時まだポピュラーでなかったモン・サン・ミシェルを訪れました。

 初めて見たモン・サン・ミシェルの景観からは、やはり神秘的で崇高な威厳を感じました。同時に人間と自然の大いなる挑戦の結果生まれた塔や城壁、ラ・メルヴェーユ(驚異)と呼ばれる修道院建築から「人間の挑戦は偉大である」と感動しました。

 映画「ラストコンサート」は、懸命に生きようとする少女ステラが挑戦を諦めたピアニストを再起させるという内容でしたが、西洋の驚異と呼ばれるモン・サン・ミシェルが「挑戦する人間の偉大さ」を感じさせる場所であるが故に、この映画のシーンに使われたのかもしれません。

 ■黒田尚嗣(くろだ・なおつぐ) 慶應義塾大学経済学部卒。現在、クラブツーリズム(株)テーマ旅行部顧問として旅の文化カレッジ「世界遺産講座」を担当し、旅について熱く語る。

 

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