【日本の解き方】岐路に立つNHK「公共放送」 受信料頼みは困難、国営放送か一部民営化の道も

2013.12.12

 NHKの松本正之会長が1期で退任する意向を示したことについて、さまざまな憶測を呼んでいる。安倍晋三政権に近い人材を次々に経営委員に送り込んでいることとの関連を指摘する報道もある。受信料のあり方や政権との距離を含め、公共放送はどうあるべきなのだろうか。

 まず、NHKの法的性格から整理しておこう。NHKは放送法に設立根拠があるので、法的には特殊法人である。他の特殊法人のように政府出資はないが、NHKの最高意思決定機関である経営委員会の委員については衆参両院の同意を得て内閣総理大臣が任命する。

 また、毎年度の収支予算、事業計画等については総務大臣に提出したのち内閣を経て国会に提出され、承認を受ける必要がある。この意味で、政府との距離感は近い。

 ただし、NHK自らは、国の経営する「国営放送」ではなく、受信料を収入として、国の統制からも自立した「公共放送」としている。こうしたNHKの公共放送像は英国のBBCを理想像とする願望であろう。

 BBCは、受信料収入によって経営するという点で、営利目的の商業放送と一線を画し、同時に政府からの補助金をもらわずに、国営放送と異なり政府からの独立性を高めようとしている。

 このモデルは各国で模索されているが、実態として、受信料のみで経営を賄っているのは日本の他、英国と北欧諸国だけである。ほとんどの国の公共放送では、広告料収入が入っているので、商業放送との区分はやや曖昧になっている。

 ただ、経営形態の見直しは各国さまざまだ。1980年代以降、フランスやイタリアでは公共放送の一部の民営化が行われた。英国でも議論はあったが当面の見直しはない。受信料制度を維持するのは難しく、一部広告料を入れることや、国からの補助金依存になったり、税金などと一緒に受信料を徴収するなどの対応になっている。ただし、海外放送部門では各国とも、公共放送ではなく「国営放送」になっている。

 こうしてみると、商業放送でもなく国営放送でもない。受信料収入によって成り立つ公共放送という理念は良いものの、米国のように地方の小規模組織であればいざ知らず、NHKのように巨大な全国組織を実際に運営していくのは難しいといえる。

 公共放送を維持していくなら、まず受信料の徴収方法を効率化すべきだろう。税金や電力料金と一緒に徴収する方式が考えられる。また、広告料を時間限定で一部導入することもありうる。ただし、前者は国に近くなり、後者は商業放送に近くなる。国からの補助金導入や補助金の財源が受信「税」になれば、さらに国営放送に近づくだろう。

 一方、学校放送や国会中継などに特化して国営放送にくら替えし、残りを民営化するということも将来課題だろう。いずれにしても、受信料収入だけの今の公共放送スタイルを維持するのは無理だろう。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

 

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