農家の栽培ノウハウ開放し新たなビジネス創出を加速

★農業の振興

2013.12.17


癒やしや食育の空間としても市民農園の果たす役割は大きい。写真は「オークファーム」=千葉県柏市【拡大】

 進化し、多様化が著しい市民農園。農林水産省によると、2012年3月末時点の市民農園数は、全国で3968。前年同月比で157農園増えた。区画数は2661増の18万3182。耕作放棄地や遊休農地を活用するケースが多いため、今後も農園数は確実に増えていくはずだ。

 所得補償に代わる農業振興の方策としても、市民農園への期待は大きい。『日本は世界5位の農業大国』(講談社)の著者、浅川芳裕・農業技術通信社顧問は、著書の中で「日本農業成長八策」を提言している。

 その第一に挙げているのが、「民間版・市民(レンタル)農園の整備」だ。「農園を借りたい人を取りまとめて基金を作り、貸農園の建設をプロの農家に呼びかける。サービスマインドのある農家なら自ら維持、運営主体になってもいいし、民間主導のプロジェクトに農家が参画する手もある」と主張する。

 「農業界はいま、新たなビジネスを創出できる絶好のポジションにある」との現況を踏まえた提言。浅川氏はさらに、「癒やしや食育、食の安全がクローズアップされるなか、農業体験、貸農園といった非農家による農業消費のマーケット拡大の伸びしろは大きい。農家だけが持つ栽培ノウハウを広く国民に開放することで、農家は自立でき、利用者も楽しめる」としている。

 筆者は、「貸農園の建設」という意味で、高速道路のSAやPAに併設することで、大都市圏の利用者のニーズを広げられるのではないかと期待している。その運営に地域の専業農家が参画する手もある。

 「(道路の)目的外の利用には関連法の整備が必要になる」(中日本高速道路広報室)ため、現状ではその実現の可能性は低い。だが、農家だけが持つ栽培ノウハウを広く開放する機会を増やすことになるだけに、検討する価値はあるだろう。何も遊休農地や耕作放棄地を活用するだけが市民農園ではない。「レジャーや観光、不動産、教育、医療といった産業界の知恵や実績を吸収しながら、新たな農業ビジネスを創出」(浅川氏)していけばいい。

 東京都心では、宅地を市民農園として活用するケースも出てきた。市民農園はますます進化し、多様化するに違いない。そして、差別化もいっそう進むことになりそうだ。

 ■川上清市(かわかみ・せいいち) フリージャーナリスト。1954年、長野県松本市生まれ。学習院大法学部卒。日本工業新聞などの記者を経て、88年に独立。著書に『自然・食・人とふれあう市民農園ガイド』(産学社)など。

 

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