自民税調は財務省の別動隊か 消費税10%決着へ政権に圧力

2013.12.19

 12日に決まった税制改正大綱について、「企業優遇で家計に負担」「再分配が不十分」との報道もみられた。今回の改正の方向性はどうなっているのだろうか。

 税制改正は与党で決められたが、なんといっても主導権を握ったのは自民党税制調査会だ。かつては権勢を誇っていたが、小泉政権の時には経済財政諮問会議に押されて影が薄かった。そして民主党への政権交代によって忘れ去られた存在になっていたが、久々の表舞台である。

 自民党税調の最大の特徴は、政治家でありながら、税の専門家集団だという点だ。会長の野田毅氏は大蔵省(現・財務省)OBであり、メンバーにも同省OBが多い。税の専門家である一方、狭い税制度分野の中で議論を完結させようとする傾向が強い。

 これが露骨に出たのが自動車関連だ。自動車の購入時にかかる自動車取得税を減税すると同時に、軽自動車税を増税した。これはもともと自動車の購入時に消費税と取得税がかかるという二重課税の議論だった。そうであれば、消費税増税と取得税減税でよかったはずだが、自動車関連税の中で、軽自動車の増税という訳のわからない話になった。軽自動車は低所得者が利用することが多いので、そこにしわ寄せがいってしまった。

 税の議論だけにこだわるあまり、消費税増税対策である「簡素な給付措置」として給付される給付金については、税ではないので議論ができない。しかし、世界の流れは、税と給付金は一体として扱う流れだ。

 具体的には、「給付付き税額控除」と税の一環だ。この制度を導入するためには、国民背番号制とともに、税と社会保険料を一体として徴収する「歳入庁」が必要だ。しかし、自民党税調のメンバーは財務省OBが多く、財務省は歳入庁に反対しているので、「給付付き税額控除」は議論すらできない状態だ。

 実は、歳入庁は国民背番号制度と合わせれば、個人の所得と資産の把握ができて、その結果、二重課税回避の観点から法人税減税が可能になる。しかし、自民党税調では、財務省の意向と税制内議論にこだわるので、法人税減税は議論されない。税制大綱でもひとこと「引き続き検討」とされているだけだ。

 地方税でも、地方法人課税について地方税の国税化が行われている。これも財務省の意向と税制内議論の結果であり、地方分権と真逆な方向になっている。財務省の意向と税制内の矮小(わいしょう)化された議論となっている税制大綱だ。

 話題の消費税軽減税率は「税率10%時に導入」となった。同時に、「2014年12月までに結論を得る」となっている。これは実際の引き上げ時期である15年10月の10カ月前に10%への増税を決着させるつもりだ。消費税8%への増税が決まったのは半年前だったが、大幅な前倒しで、安倍政権に圧力をかけている。

 ここでも、自民党税調が財務省の別動隊のように行動している。自民党への政権交代によって、古いお化けが再び登場しようとしている。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

 

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