三味線演奏家・本條秀太郎さん 消えゆく民謡を復元、継承して現代に

2013.12.19


本條秀太郎さん【拡大】

 “雪は降る 雪は降る 雪は恋にぬれている”としっとり唄われるのは、石川県加賀山中温泉に伝わる民謡『山中節』を題材にした『雪の山中』の一節である。「雪深い道を女の人が歩いて行くイメージ」で1969(昭和44)年に作られた本條秀太郎さん(68)作詞作曲による作品である。

 本條さんは、民謡を「地方唄」「田舎唄」と素朴に表現し、自らを「三味線演奏家」と呼ぶ。

 生家が茨城県潮来の花柳界のただ中だったので、11歳から地元の師匠に三味線の手解きを受ける。13歳の時、両親と2人の姉と妹の一家6人で上京し、三味線、長唄を稀音家(きねや)芳枝に、民謡の唄を2代目大船繁三郎に師事。高校卒業後は、初代藤本●(=王へんに秀)丈(ひでお)の元に住み込みで弟子入り、「四六時中、三味線と民謡と端唄(はうた)に触れていた」という。

 三味線は江戸時代になって急速に発達した楽器だが、本條さんは「民謡も清元、常磐津も民族音楽」であり、「三味線弾きが作っているから三味線音楽」と解釈する。とくに民謡は「自然発生的に生まれた民の唄」と捉える。だから本條さんの三味線音楽は、自由闊達(かったつ)でありながら風土色が醸し出す幻想的な音世界が特徴である。

 1971(昭和46)年、26歳の若さで「本條流」を創流。本條さんのライフワークは、消えゆく民謡を復元、継承することを目的に地方唄の源流を訪ね歩き、本條流の三味線音楽に昇華させて現代に蘇らせることである。

 かつて民謡は「俚(り)謡」と呼ばれていたことから、この活動を本條さんは「俚奏楽(りそうがく)」と定義する。

 また江戸末期に作られた端唄を発掘、収集し採譜した約350曲をシリーズで全曲唄う演奏会「江戸を聞く」を主催する。第1回が93(平成5)年に催され、来年1月26日、紀尾井小ホールで31回目を開く。復元した端唄のCD化も続けているが「まだ、やっと100曲くらいを終えたところ」というから先は長い。

 数々の芸術祭賞を受賞し、2007(平成19)年には紫綬褒章を受章。『春日局』『篤姫』『龍馬伝』などNHK大河ドラマの邦楽指導も担当する。

 「三味線に唄わせてあげたい」という表現に本條さんの三味線魂がのぞく。

 料理屋や遊郭などの小座敷で三味線をつま弾きながら唄われた端唄から、江戸人のパワーと洒脱さを学びたいものである。 (谷口和巳)

 ■たにぐち・かずみ 団塊世代の編集者。4つの出版社を転籍、19の雑誌に携わり、編集長として4誌を創刊。団塊世代向け月刊誌『ゴーギャン』元編集長。『女優森光子 大正・昭和・平成−八十八年激動の軌跡−』『帝国ホテルの流儀』(共に集英社)などの書籍も手掛ける。

 

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