【回顧 2013年】自衛隊、海空偏重の人員構成を危惧 ジャーナリスト・桜林美佐氏

2013.12.27


沖縄県・尖閣諸島などの防衛強化のために配備される機動戦闘車【拡大】

 つい先日、2013年の展望を書いたばかりのような気がするが、もう1年が過ぎてしまった。及ばずながら、日本の防衛政策について取り組んでいる身として、自分自身のこの1年を採点すれば、正直言って「赤点」と言うしかない。あらゆる場で訴えてきた事々は伝わらず、成果が出せていないからだ。

 まず、日本の防衛力が海空重視に大胆に傾いていることに対して異論があり、また、世の中がこれを「良し」と評価している風潮を危惧している。

 海空自衛隊に投資することに問題があるわけではない。むしろ、それは、昨今の情勢を鑑(かんが)みれば当然だ。

 また、いわゆる海兵隊的な戦力と位置付けていいであろう「水陸両用部隊」の創設は画期的であるが、陸上自衛隊の人員を微増させるだけで、間に合うのかどうかが気になる(かねて述べているが、これまでずっと削減しているので『増』という言葉はそぐわない)。

 それに、海兵隊を新たに増やして、「陸軍」が不在になってしまっては、国防に致命的な穴を自ら作ることになる。日本における陸軍はどこに行ってしまうのか?

 陸軍と海兵隊は、異なる軍種であるにも関わらず、陸軍(陸自)の一部が「海兵隊的」に変わり、しかもそれは「プラスα」の発想ではなく、陸軍力の身を割いて実行するという発想は腑に落ちない。

 これは確かに、新たな日本の防衛力構築における「メリハリ」部分が具現化したものなのかもしれない。しかし、こうした方策の影響は、東日本大震災のような自然災害や、原発対処なども手薄にしかねないだろう。

 「自衛隊は災害派遣部隊にあらず」と訴える私にしてみれば、理解できないわけではないが、誰が代替するのかも不明であり、そもそも、そうした見通しを国民はまだ理解していない。

 結局、「増やす」「変える」と言っても、切り張りの繰り返しである限り、どこかが縮小されるのである。

 私は、今、日本人が国防に対する意識を強め始めたように感じているのだが、なぜ、このようなことが受け入れられてしまうのか、考えてみた。その結果、次のような要因が思い浮かんだ。

 (1)「抑止力」の概念がない。

 (2)目先の脅威しか見えない。

 (3)「陸軍」が嫌い。

 (4)陸海空自衛隊の分断をもくろむ者がいる。

 (5)日本の軍事力を弱める工作が行われている。

 いかがだろうか。そんなことであってほしくはないが、これらを当てはめると全てが割り切れてしまうことが悲しいのである。

 ■桜林美佐(さくらばやし・みさ) 1970年、東京都生まれ。日本大学芸術学部卒。フリーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を制作後、ジャーナリストに。防衛・安全保障問題を取材・執筆。著書に「日本に自衛隊がいてよかった」(産経新聞出版)、「武器輸出だけでは防衛産業は守れない」(並木書房)など。

 

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