忘れてはならない猪瀬氏の功績 道路民営化や五輪招致にも尽力

2013.12.27

 猪瀬直樹東京都知事が辞任した。医療法人徳洲会から現金5000万円を受け取った件で、都政や五輪準備が停滞した責任を取ったからだ。

 猪瀬氏は政策には強かったが、政務は全くの素人だ。選挙前の段階で、しっかりした政務秘書も不在のまま、不用意に借り入れをしたとしかいいようがない。

 信頼できる政務秘書がいれば、借りるべきか否かを判断したであろう。まず借り入れはあり得ないだろうが、もし借り入れるのであれば、猪瀬氏自身が議員会館まで取りに行くことはありえないし、もっと手続きをきちんとしただろう。都民が期待したのは、これまでの政治家にはない発想力で政策をしてもらうことだったので、まことに残念である。

 猪瀬氏はさまざまな分野で大きな功績があった。石原慎太郎前都知事から請われ、2007年6月に副知事に就任したが、その前には、02年6月に道路関係四公団民営化推進委員会委員に就任し、多くの委員が脱落する中で、道路公団民営化に奔走した。

 旧道路公団は債務超過だから民営化できないという既得権者のデマを信じず民営化を進め、毎年、道路公団に導入されていた国費3000億円をなくした貢献は大きい。また、07年4月には地方分権改革推進委員会委員に就任し、国の出先機関の整理合理化で存在感を発揮した。

 07年6月に副知事に就任してからは、参議院議員宿舎建設差し止めや北海道夕張市への職員派遣、周産期医療体制整備、少子高齢化対策、東京都水道局の海外展開、地下鉄一元化、首都直下地震対策、尖閣諸島購入の寄付金募集、東日本大震災への対応(消防庁ヘリ出動、ツイッター情報提供)、天然ガス発電所建設、東電への株主提案と数々の実績を上げている。特定のプロジェクトを設定し、そのために組織を横断的に活用した手法は、都職員のノウハウをうまく使い、猪瀬氏の発信力と相まって、大きな成果を上げた。

 12年12月、434万票を得て都知事に選ばれ、東京五輪招致に尽力し見事に成し遂げた。この五輪招致成功こそ、多数の協力の上でチーム力を結集できた成果である。

 以前は猪瀬氏個人または少数のチームで問題に取り組んでいたが、副知事就任後は特定プロジェクトで多数の人を動かすようになり、都知事ではさらに大きなプロジェクトをやっていく矢先に、こうした形での都知事辞任は都民にとって不幸としかいいようがない。

 筆者は猪瀬氏を20年くらい前から知っている。データについて他の人とは違う執着心があり、解明に熱心だった。政策熱心の度が過ぎて、不勉強な他のジャーナリストをときどき相手にしないようなところもあり、それがマスコミから叩かれる一因にもなったが、政策ではどんなジャーナリストもかなわない超一流だ。

 かつて、「作家がちょっと行政をやっているだけだよ」と言ったことがあるが、本職の作家に戻って、今後とも大いに吠えていただきたい。それが日本のため、東京のためになる「恩返し」だと思う。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

 

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