オムライス発祥の老舗洋食屋「煉瓦亭」

2014.01.09


木田浩一朗さん【拡大】

 銀座中央通りから1本有楽町寄りの銀座1丁目から4丁目までの通りを「ガス灯通り」という。道の両側に明治期の風情あるガス灯が等間隔に立ち並ぶ。この3丁目の中程に、1895(明治28)年創業の「洋食屋の先駆け」となった煉瓦亭がある。

 開店当初から煉瓦亭は「西洋御料理店」の看板を掲げ「フレンチ」料理をベースとした。だが「パンより米が食べたい」との客の要望から、創業者の木田元次郎が皿にライスを盛るスタイルを考案。茶碗(ちゃわん)でナイフとフォークは使いにくいからだった。

 アイデアマンの元次郎は、今では当たり前の“洋食メニュー”を次々と編み出す。

 オムライスはそのひとつ。オムレツに炊いたご飯を交ぜただけの賄い飯で、ケチャップなし。「当時の店内はカウンター越しにキッチンが見えたので、それを見ていたお客さまのご要望で賄い飯がメニューになった」。これが「オムライスの原点」と語るのは、4代目店主・木田浩一朗さん(47)だ。

 ハッシュドビーフアンドライスもそう。つまりハヤシライスのことで「日本橋丸善が発祥」といわれているが、実は「ドミグラソース系のハヤシライスは煉瓦亭が元祖」。

 トンカツもこの店から生み出された。フレンチのカツレツといえば子牛肉だが、「豚肉のカツレツを天ぷら鍋を使ってラードで揚げた」のが最初である。温野菜に代わりキャベツの千切りを付け合わせにしたのも、日露戦争でコックが徴兵されたことによる合理化の産物という。

 メンチカツ、エビフライ、カキフライなど揚げもの全般を含む洋食というジャンルを作ってきた店だけに、煉瓦亭から世に出た「メニュー」の誕生物語は、NHKの朝ドラ『ごちそうさん』にもエピソードとして登場するほど。

 「時代によって素材・食材が変わり、味も絶対的に違ってきます。時代の変化を受け入れつつ、その時代に合ったおいしい料理を工夫しなければ伝統は守れません」と言いつつ、定番メニューの「ポークカツレツは100年後もあってほしい」と木田さんは付け加えた。創業119年の矜持(きょうじ)である。

 さて、今夜は、洋食でも食べに行くか――。 (谷口和巳)

 ■たにぐち・かずみ 団塊世代の編集者。4つの出版社を転籍、19の雑誌に携わり、編集長として4誌を創刊。団塊世代向け月刊誌『ゴーギャン』元編集長。『女優森光子 大正・昭和・平成−八十八年激動の軌跡−』『帝国ホテルの流儀』(共に集英社)などの書籍も手掛ける。

 ◆煉瓦亭 東京都中央区銀座3の5の16 (電)03・3561・3882

 

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