ノーマークだった阪神淡路大震災の教訓 「次の大地震」がどこかは予想できない

2014.01.17


都市の弱さが露呈した阪神淡路大震災【拡大】

 兵庫県南部地震が関西を襲ってから、1月17日でちょうど19年になる。阪神淡路大震災を起こした地震だ。

 5000人近くが亡くなった1959年の伊勢湾台風を最後に、犠牲者が1000人を超える大きな自然災害が約半世紀の間なかった。そのあと突然襲ってきた大災害だった。

 6400人以上の犠牲者を生んでしまった。地震の爪痕はまだ現地に残っていて、震災から立ち直れない人も少なくない。

 しかし2011年に東日本大震災が起きてからは、被災地以外では阪神淡路大震災への関心は遠ざかってしまっているように見える。じつは阪神淡路大震災のときにも、津波が大災害を生んだ北海道南西沖地震(1993年)への国民の関心は遠ざかって、現地は忘れられてしまった。冷酷だが、これが地震多発国の現実なのである。

 ところで、この阪神淡路大震災を現代の目で見直すことは、将来の日本の震災を考えるうえで大事なことだ。

 ひとつのポイントは、その5年後の2000年に起きた鳥取県西部地震だ。同じマグニチュード(M)7・3、同じ深さで起きた内陸直下型地震。こちらは誰も亡くならず、現地の人には申し訳ないが約180人の怪我人と全壊家屋約400棟だけですんだ。

 同じ大きさの地震が襲ってきても、これだけ違う。これは地震がどこを襲うかの違いだ。都会は地震に弱い。もし、この大きさの地震が東京や大阪を襲ったら、その被害は阪神淡路大震災の比ではないかもしれない。

 地震は自然現象だ。日本人が日本列島に住み着く前から起き続けてきている。一方「震災」は自然現象である地震と、人間が作った社会の交点で生まれる社会現象だ。社会が大きくなって、それゆえ弱くなれば、震災は大きくなる運命にある。

 もうひとつのポイントは、阪神淡路大震災が起きる前、1970年代後半から「東海地震」がクローズアップされていたことだ。東海地震を予知する組織が気象庁に作られて、予知警報に対応する法律まで成立していた。このため「大地震の前には予知の警報が出る。次に起きる大地震は東海地震に違いない」と国民に刷り込んでしまっていたのであった。

 しかし、次に襲ってきたのは東海地震ではなく阪神淡路大震災だった。その後も、新潟県中越地震(2004年)、福岡県西方沖地震(2005年)、能登半島地震(2007年)、新潟県中越沖地震(同)、岩手・宮城内陸地震(2008年)、そして2011年の東日本大震災。東海地震でもないし、その他の政府がマークしていなかったところで大地震が起き続けている。

 現在の地震学のレベルでは、次に大地震がどこを襲うかは、まったく予想できないのだ。

 南海トラフ地震や首都圏直下型地震がクローズアップされているなかで、予想もされていないところで「次の大地震」が起きて大きな震災になってしまう可能性は、決して低くはないのである。

 ■島村英紀(しまむら・ひでき) 武蔵野学院大学特任教授。1941年、東京都出身。東大理学部卒、東大大学院修了。理学博士。東大理学部助手を経て、北海道大教授、北大地震火山研究観測センター長、国立極地研究所所長などを歴任。『直下型地震 どう備えるか』(花伝社)など著書多数。

 

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