【日本の解き方】大阪都構想の反対論者、なぜ公選区長より役人選ぶのか

2014.02.04

 大阪都構想の制度設計を進める大阪府、大阪市の法定協議会は1月31日、新設する特別区の区割り案を1つに絞り込みたいとする橋下徹市長の提案を退けた。橋下氏は辞職して出直し選挙に出馬するというが、何が問題になっているのか。

 筆者は1月28日、大阪都構想をめぐる有識者ヒアリングで意見を述べた。そこでは、大阪では市営地下鉄だが、東京では都営地下鉄、大阪では市水道局だが、東京では都水道局、大阪では市立高校だが、東京は都立高校−と、身近な物事で大阪と東京に違いがあることなどを説明し、東京の特別区は、都と役割分担をしてうまく運営されていると話した。

 NHKのニュースでは筆者の意見は全く報道されず、都構想に否定的な立場の甲南大学の高寄昇三名誉教授の意見だけが出ていた。「大阪市を特別区に再編すれば、防災などの政策を進める上で複数の区長の合意が必要になり、都知事と意見が対立すれば、府市統合で目指す行政の一元化はかえって後退する」という。

 しかし、筆者は、東京都における都知事と区長の役割分担を説明し、橋下市長も「役割分担すれば意見対立はない」と言っていたが、そのとおりだ。高寄氏の意見では、特別区の権限は市より劣り、財源は今より減るというが、これは事実誤認だ。特別区は中核市(人口30万以上)より権限があり、制度の仕組みによっては、ほぼ政令指定都市(人口50万以上)と遜色なくできる。財源問題も今より悪くなるはずがない。

 今の大阪市の区は「行政区」であり、区長は市職員からの派遣で、公選ではない。市の人事異動の一環で行われるので、大阪市の区長の名前を区民はほとんど知らない。区議会もなく、区議会議員もいない。ところが、東京の区は「特別区」であり、区長は公選で、区議も選挙で選ばれる。

 こうした事実を理解していれば、大阪市を特別区に再編することは、大阪市民にとって悪いはずがない。第1に、権限は今より悪くならない、第2に、財政も特別区間での財政調整があるので今より悪くならない、第3に、住民参加度は今より格段に良くなる。いってみれば、1人の政令市長から複数のほぼ政令市長並みのパワーをもつ特別区長にするようなものだ。

 このような単純な論理であるのだが、反対の立場の人は「公選特別区長」より「役人派遣の行政区長」の方がいいという、民主主義では考えられないものになってしまう。高寄氏の意見もよく聞くと、急がないで慎重にという、役人答弁のようで、論旨が明快とはいえない。

 筆者のこれまでの経験では、論旨が不明確な反対には大きな既得権が隠れていることが多い。大阪に長く住んでいる筆者の友人がこっそり教えてくれたことがある。今の役人区長の行政区制度の下で、市長にも気づかれないようなカネの流れが市の末端でできているので、もし特別区制度に移管して公選区長になると、カネの流れのシステムが壊れるという。これがもし本当なら根が深い問題である。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

 

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