アフリカ重視のODA戦略 かつての中国援助の轍踏むな

2014.02.09

 先日の安倍晋三首相のアフリカ歴訪では、中国のアフリカ開発と比較する形で「アフリカに雇用を生み出すため」として支援を表明した。有償資金協力(円借款)や無償資金協力、技術協力など、日本のODA(政府開発援助)はどのような原則で行われているのだろうか。

 2国間のODAには有償資金協力や無償資金協力、技術協力がある。有償資金協力は、開発途上国に対してインフラ整備などのために低利かつ長期の緩やかな条件で開発資金を貸し付けるもので、円借款とも言われる。無償資金協力は、相手国への贈与であり、返済義務はない。技術協力も贈与の一形態であるが、研修員受け入れ、専門家派遣などである。これらのODAは独立行政法人国際協力機構(JICA)が日本政府の代わりに実施している。

 ODAの原則は、ODA大綱として、閣議決定されているものでは、国際連合憲章の諸原則(特に、主権、平等及び内政不干渉)と(1)環境と開発の両立(2)軍事・国際紛争の回避(3)テロ・大量破壊兵器の拡散防止など国際平和(4)民主化、市場経済、人権、自由−の4原則が定められている。簡単にいえば、環境配慮、軍事回避、西側諸国価値観である。この中でも日本で特徴的なのが、軍事回避である。

 こうした原則の中で、具体的にどの国が2国間援助の対象になるかは、時の政権の総合判断による。

 今回、安倍政権が選んだアフリカは、民族紛争やテロ、集団殺害、人権侵害、環境破壊、極度の貧困、自然災害、感染症など世界が直面している課題が深刻な形で現れている地域である。この意味では、アフリカに着目するのは、良い判断である。これまでもODAの専門家から、日本はアフリカへの援助が手薄になっていると指摘されてきたが、安倍政権はそうした専門家の指摘に応えたといえる。

 もっとも、専門家の中には、ODAは、有償資金協力より無償資金協力をより多くせよと主張する者もいるが、これはちょっと的外れだ。

 有償資金協力(円借款)の低利かつ長期という相手国に有利な条件での貸し付けの方式は、相手国の自立に役立ってきたという側面もある。無償援助では、もらい癖がついてかえって自立できなくなるが、貸し付けで返済させることで経済自立を促す効果があるわけだ。

 しかし、かつて中国へ巨額の円借款を行い、今の国際協力機構に統合される前の海外経済協力基金の総裁(歴代大蔵省からの天下り)は閣僚級の扱いを中国から受けたという話もある。

 それにもかかわらず、中国政府が日本からの借款に感謝したと公の場で大々的に語ることはなく、そうした援助は、外交の観点からあまり効果があったとはいえない。また、今のODAの原則に書かれている環境配慮、軍事回避、西側諸国価値観の観点から見て、良いODAだったと言い切れないだろう。

 今回のアフリカへのODAも紛争に使われないようにすべきだ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

 

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