ケネディ駐日米大使のつぶやきにイルカの町が“鯨撃” 「漁を守り続ける」強い思い

2014.02.10


イルカ漁を批判したケネディ駐日米大使(左)と、反論した仁坂吉伸・和歌山県知事【拡大】

 《米国政府はイルカの追い込み漁に反対します》−。キャロライン・ケネディ駐日大使が短文投稿サイト「ツイッター」に書き込んだ内容が波紋を広げている。ネット上でも賛否両論がわき上がり、国や和歌山県はすぐさま反論。イルカの追い込み漁をしている同県太地町の漁師たちの間でも動揺が広がっている。

 「昔から続けてきた生業を非難されることは納得がいかない。太地に来て、細々と漁を続けている現状と実際のやり方などを見ていただきたい」

 太地漁協の組合幹部はこう言って反論する。太地漁協によると、組合員約400人のうち追い込み漁を生業とする「いさな組合」の漁師は24人。泳ぐ鯨類を船から銛(もり)で狙う「突きん棒漁」の組合員は約30人で、残りの漁師は定置網漁や一本釣り漁などで生計を立てているという。

 「クジラの町」として知られる太地町には平地や川がない。そんな悪環境の中で、町民たちの胃袋を支えていたのはクジラやイルカだった。店頭にはクジラやイルカの肉や加工食品が並び、クジラ料理は飲食店で、イルカ肉は刺し身やすき焼きとして家庭で食べられている。町民たちにとっては貴重な栄養源だ。

 ところが、2009年に同町のイルカ漁を批判した米映画「ザ・コーヴ(入り江)」が公開されると、江戸時代から約400年の歴史をもつ国内古式捕鯨は「ジャパニーズマフィア」などと“悪役”扱いされた。映画はアカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞を受賞、町のイメージは一気に悪化してしまった。町内には反捕鯨団体に属する外国人らの姿が目立つようになり、9月1日に追い込み漁が解禁されると、さらに緊迫した空気に包まれる。

 先月中旬の追い込み漁でも、米反捕鯨団体「シー・シェパード(SS)」のメンバーらがY字型に入り組んだ畠尻湾で監視。湾の前に設置された臨時交番の警察官や海上保安部の船が待機するなかで行われた。

 この日の漁で捕獲されたイルカは約500頭。入り江ではイルカを選別する仕分け作業が行われ、子供などの小さいイルカは放し、親子と判別できれば親とともに海に帰す。そうして約400頭を逃し、残りは水族館に運ばれたり、食用として処理されたりした。

 ケネディ大使のつぶやきに対して、菅義偉官房長官は「イルカ漁はわが国の伝統的な漁業」と言及。仁坂吉伸知事も「日本人は数少ない資源を大事にしてきたという自負がある」などと反論する。

 だが、米国では今月に入ってヒップホップ音楽プロデューサーのラッセル・シモンズを中心とする大物芸能人らが、「イルカ漁を禁止しない限り、オバマ大統領が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に署名しないよう働きかけてほしい」とケネディ大使に書簡で訴えるなど、漁反対の気運がさらに強まっている。書簡には俳優のショーン・ペンやスーザン・サランドン、ウィリアム・シャトナーらも賛同しているという。

 太地漁協によると、処理方法などについても自主的なやり方を確立。国の捕獲許可数よりさらに厳しく捕獲数を限定している。また、漁期が終わる4月には鯨やイルカの供養を慰霊碑がある高台の公園で行っている。

 三軒一高(さんげん・かずたか)町長は「町として追い込み網漁業を守り続けていくという強い思いがある」と話している。

 

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