「成長鈍化」の判断は早計 尾を引くデフレ、円高の後遺症

2014.02.23

 内閣府が17日発表した2013年10〜12月期の国内総生産(GDP)速報値は、実質で前期比0・3%増、年率換算では1・0%増だった。名目GDPは前期比0・4%増、年率1・6%増で、名目成長率が実質を下回る「名実逆転」がやっと解消した。

 実質成長率0・3%増の寄与度をみると、内需が0・8%のプラス、外需は0・5%のマイナスだった。今回は1次速報なので、例えば設備投資では、法人企業統計の結果によって、さらに変動があり得るものだ。

 しかし、現時点でいえば、消費増、建設投資増、設備投資が若干増、政府消費増、公共投資の伸びは低下(12年度の補正予算が切れたため)、輸出微増、輸入大幅増となっているのは、方向としてはいいだろう。それで4四半期連続のプラス成長となっているわけだ。もちろん、消費や建設投資は消費税増税による駆け込み需要も大きいが、これも当初から想定されていることだ。

 ここで、輸出の増加が足りないことを、日本産業の競争力の観点で説明するエコノミストがいるが、そうでもないだろう。輸出の遅れは「Jカーブ効果」(通貨安でも当初は輸出が減る現象)も知られているが、長い間の円高で生産拠点が海外展開したことの影響が大きいと思う。

 つまり、20年間にわたるマネーの過小供給、その結果であるデフレ、円高の後遺症は1〜2年では治癒できないほど大きいわけだ。

 成長率はプラスを維持しており、この程度の数字で「鈍化」というのは、ちょっと気が早い感じである。いずれにしても、来月の2次速報やその後の展開を見ないとなんともいえないだろう。

 もっとも、これを奇貨として追加金融緩和を行う手はあるのかもしれない。18日の日銀金融政策決定会合では、金融政策の変更はなく、現状維持だったが、黒田東彦日銀総裁は記者会見でちょっとサービスした。

 今年度のGDP成長率が日銀見通しの2・7%に届かないなど「下振れリスクが顕在化すれば、躊躇(ちゅうちょ)することなく量的・質的緩和の調整を行う」と追加緩和に言及したのだ。

 これまでは抽象的に「上下双方向のリスクに対応する」と説明してきたが、今回は数値を示して発言し踏み込んでいる。来月のGDP2次速報が判明すれば、今年度2・7%になるかどうかはほぼわかる。その時点で日銀は追加緩和するかどうかを判断するはずだ。

 筆者は、今年度2・7%を達成できるかどうかは、いい方便だと思っている。金融政策には効果ラグがあり、政策を行ってから2年程度のラグで本格的な効果が発揮できる。もちろん、2年より前でも効果はあるが本格的ではない。

 そうした意味で、金融政策には明日にでも効果が出るという即効性はない。この点が、多くの政治家が金融政策に理解を示さない原因であろう。さらにいうと、政策の当事者は日銀なので、政治家が「自分がやった」と言えないことも不人気の原因かもしれない。

 いずれにせよ、黒田総裁の下振れリスクへの言及は市場に快く受け入れられただろう。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

 

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