失った声を再生する「マイボイス」開発 作業療法士・本間武蔵さん

★作業療法士・本間武蔵さん(1)

2014.03.06


本間武蔵さん【拡大】

 「行きたい所へ行き、食べたいものを食べ、会いたい人に会い、言いたいことを言い、したいことをする。この思いは、病気であれ、障害者であれ、健常者であれ、なんら変わりはないのです」

 都立神経病院リハビリテーション科の作業療法士・本間武蔵さん(51)は、開口一番こう口にした。難病で声を失う恐れがある患者のために、本人の声を録音して残すという仕事に取り組んで10年になる。

 「マイボイス」というシステムだが、録音した声をパソコンに取り込み、言いたいことをキーボードに打ち込むと、本人の声で再生される仕組み。本間さんがこれまでに手伝った声の登録は、125人に上る。ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者が大半だが、他にパーキンソン病や筋ジストロフィーの患者もいる。

 2009年にALSと診断され、気管切開を行い人工呼吸器をつけて生活するフランス文学者で学習院大学名誉教授の篠沢秀夫氏もその一人。

 気管切開で完全に声を失った患者のために「伝の心(しん)」というパソコンに文字を入力すると音で再生する福祉機器もあるが、支給条件がとても厳しく、進行性のALS患者の場合、その約8割は給付を受けられずに亡くなっていく。

 「ボイスター」(旧ポルックスター)という自分の声から作り出す滑らかな音声合成ソフトもあるが、障害者のための給付対象商品ではない。

 「身体の機能が次第に失われていく人たち」に何ができるか奔走する本間さんが出会ったのは、自らも脳性小児麻痺で言語障害もある吉村隆樹さん(48)だった。

 吉村さんは、わずかに動く指先やまばたきでも文章が打ち込める障害者向けパソコン操作支援ソフト「ハーティーラダー」(心のかけ橋)を無料公開している。スイッチ1つで文字を入力できる画期的なソフトだ。

 「入力した文字に声を乗せられないですか?」「できますよ!」。この会話から、「たどたどしいけど本人の声」づくりが始まった。 (続く)

 ■谷口和巳(たにぐち・かずみ) 団塊世代の編集者。4つの出版社を転籍、19の雑誌に携わり、編集長として4誌を創刊。団塊世代向け月刊誌『ゴーギャン』元編集長。『女優森光子 大正・昭和・平成−八十八年激動の軌跡−』『帝国ホテルの流儀』(共に集英社)などの書籍も手掛ける。

 

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