鳩居堂 先祖代々の伝統が守る日本の伝統文化

2014.03.20


樋下欣哉さん【拡大】

 『平家物語』にも登場する源氏の武将でありながら、出家して法然上人の弟子となった熊谷直実を祖先にもつ熊谷家の20代目熊谷直心(じきしん)が、1663(寛文3)年に京都寺町に薬種商を創業したのが始祖である。

 屋号の鳩居堂は、徳川家に仕えた儒学者・室鳩巣(むろ・きゅうそう)の命名で、中国の『詩経』の一節から採り、室鳩巣の雅号と熊谷家の家紋である「向かい鳩」にちなんだ由緒ある屋号である。

 薬種の原料が「お香」と同じことから薫香や線香を作り始めると同時に、薬種輸入先の中国から書道の道具である筆、硯、墨なども取り寄せて鳩居堂の礎を築いた。

 1700年代になって以降、歴史家の頼山陽や書家の池大雅など文人墨客をはじめとする客の要望から、鳩居堂オリジナルの商品を生み出すことになる。その品々が輸入品より秀逸と評判になり、頼山陽は「筆研(硯)紙墨皆極精良」と揮毫し、『鳩居堂記』という巻物も書き残している。

 その書で、「家であれ国であれ、自分の代だけで作ったものではなく、先祖代々受け継いできたもの」だから「借家住まい」という意識が大事と説き、「お店はご先祖様、そして世間(お客様)からの借り物、預かり物であるということを忘れずに、謙虚な気持ちで商いに励め」と戒める。これが鳩居堂の精神となっている。

 いつの時代も「お客様の声が鳩居堂の商品開発にもつながっているのです」というのは、店長の樋下欣哉さん(66)である。

 一方で祝儀・不祝儀袋のように「水引の色や数など、時代が変わっても変えない」のは、日本の伝統行事やしきたり、生活の知恵やマナーの「基本を伝えていく鳩居堂の使命がある」からだという。

 1880(明治13)年、東京に出張所を構えて130余年。創業から数えて13代目当主、熊谷道明さん(42)が、900年のDNAを受け継ぐ。

 日本の歴史がここにある。 (谷口和巳)

 ◆東京鳩居堂 東京都中央区銀座5の7の4 (電)03・3571・4429

 ■たにぐち・かずみ 団塊世代の編集者。4つの出版社を転籍、19の雑誌に携わり、編集長として4誌を創刊。団塊世代向け月刊誌『ゴーギャン』元編集長。『女優森光子 大正・昭和・平成−八十八年激動の軌跡−』『帝国ホテルの流儀』(共に集英社)などの書籍も手掛ける。

 

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