【エネルギー新潮流】新技術、原発事故を収束へ導くか? 研究担う国際廃炉研究開発機構が始動

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2014.03.21


三菱重工の原発用作業ロボット「MHI−MEISTeR」(マイスター)【拡大】

 福島第1原発事故の現場で、ロボットが収束作業に活躍する。そんな光景が間もなく見られそうだ。

 三菱重工は2月、同社開発の遠隔作業ロボット「MHI−マイスター」が、原発事故現場での作業実験を行ったと発表した。無限軌道(クローラー)を装備して狭い原子炉建屋内を動き、ロボットアームを使った運搬や、取り付けノズルを使った除染など、高い放射線量下でもさまざまな作業を行えたという。

 東芝や日立など、国内の他の重機械メーカーや、研究機関も事故処理に役立つさまざまな技術アイデアやロボットを競争しながら提案している。日本企業は技術の層が厚いのだ。

 福島原発事故の収束作業を、新技術で促す必要がある。そのために経産省が主導して昨年8月に技術研究組合「国際廃炉研究開発機構」(略称・IRID)ができた。東電をはじめ、電力、原子力関連メーカーなど17法人が参加する。

 「国内外の英知を結集して、廃炉の研究開発を一元的にマネジメントする」ことが目的だ。特に現在は「燃料デブリ(=溶け落ちた燃料)取り出し準備や代替工法」「汚染水、放射性廃棄物、使用済燃料の処理・処分」にかかわる研究開発を行う。

 これまで汚染水では、国内外から780件の技術提案をもらい国に報告した。またデブリの除去では194件の技術情報を受けて、これから実用可能なものを絞り込む。

 東電の技術系社員は「事故の影響で、社内は手一杯の状況だ。長期の視点で技術を考えられない。こうした外部組織は、事故収束のためにプラスになるし、ありがたいことだ」と期待する。

 廃炉研究は後ろ向きの意味だけではない。新技術によって、新しいビジネスが生まれる可能性がある。

 世界では2013年末で、約450基の原発が運転されている。そのうち30年までに約260基の原子炉で、老朽化のために廃炉措置が必要と見込まれる。廃炉を安く、安全に行う会社があれば、世界で歓迎されるだろう。IRIDによる技術蓄積は、商業化に結びつく可能性もある。

 そして、後始末は未来につながる。

 山名元(やまな・はじむ)IRID理事長は、京大教授という多忙な身でありながら運営責任者になっている。引き受けた理由は、原子力の研究者として、福島事故の収束に役立ちたいからという。

 「多くの被災者の方が今も福島原発事故の影響に苦しんでいる。事故の後始末を早く終わらせることは、福島を元通りにする第一歩。早く、意義深い成果を出したい」(山名氏)

 福島原発事故という悲劇の中から、未来につながる技術革新が生まれるかもしれない。その新しい動きを、期待を込めて注目したい。 (経済・環境ジャーナリスト、石井孝明)

 

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