大阪都構想の実現に立ちはだかる「議会の承認」と「法制度のハードル」

2014.03.28


出直し市長選で再選後、大阪市役所に登庁した橋下徹氏=24日午前、大阪市北区【拡大】

 大阪市の出直し市長選で橋下徹氏が再選されたが、投票率は過去最低の23・59%で、棄権や白票も多かった。

 橋下氏は「投票率は低かったが、歴代の大阪市長と同等の得票数であり、同じだけの信任は得たと思っている」と述べ、「今回の選挙で、都構想が信任されたわけではないが、都構想の是非は最後は住民投票で決めるべきだということが明らかになった」としている。

 一方、日本維新の会の石原慎太郎共同代表は、「市長選を無視してかかった他党には政党の資格はない。彼が壮絶に近い『空振り』みたいになったのは、彼の将来にとっても残念」と率直な感想を述べている。

 たしかに、政治家にとっては、得票率よりも得票数のほうに関心がある。今回、橋下氏が獲得した37万7472票は、平成に入ってから実施された大阪市長選で、橋下氏を除く当選者の得票数と比べると、6回中4回で上回る水準だ。

 石原氏の言うとおり、選挙を無視するのは政治家としてあるまじき行為であり、そのために投票率が下がったのだから、投票率の低さを理由にして信任されていないというのは、あまりに稚拙な議論である。

 出直し市長選を受けて、今後の大阪都構想がどうなるかといえば、その実現にはまだハードルがある。大阪都の詳細制度設計を作成したとしても、住民投票にかける前に、大阪府議会と大阪市議会の承認が必要だ。大阪維新の会が府議会や市議会で過半数を確保していないので、承認が下りない可能性が高い。

 となると、住民投票ができずに、大阪都構想が潰れる。仮に、府議会や市議会の承認ができても、最後の最大の難関である住民投票がある。

 こうしたハードルを超えるためには、橋下氏は大阪市政に専念する必要がある。その分、国政への関与は低くならざるを得ない。橋下氏は、日本維新の会と結いの党との合流を想定しているとみられているが、大阪都構想そのものが頓挫したら、政界再編どころではなくなる。

 ただ、橋下氏抜きでは、両党の合流話はなかなか進まないのも現状である。というのは、日本維新の会のもう一人の共同代表である石原氏は、結いの党が護憲政党であるとの理由で、合流を明確に否定しているからだ。

 大阪都構想は地方分権の一環として導入されているが、地方分権に消極的な中央省庁の協力を得られないのも痛い。都構想を進めるための「大都市地域における特別区の設置に関する法律」は、総務省が渋々作ったものであるが、住民投票に至る手続きをガチガチにして、都構想を進めにくくしている。その典型が議会の承認手続きだ。住民投票するのであるから、本来は議会の承認など不要なはずだ。

 橋下氏には、そうした中央集権体制を打ち破ることが期待されている。中央集権のままでいいのか、地方分権に舵を切るのか、ここは大きな分岐点に立っている。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

 

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