ルクセンブルク 荘厳な自然と断崖城壁に囲まれた「ヨーロッパの宝箱」

★ルクセンブルク

2014.03.28


城壁に囲まれた要塞都市ルクセンブルク【拡大】

 ベルギー(Belgium)、ネーデルランド(Netherlands=オランダ)、ルクセンブルク(Luxembourg)の3国の頭文字をつないだベネルクスとは、本来この3国間の関税同盟協定を指す言葉でした。

 1944年に調印されたこの協定は83年以降、3国間の貿易手続きや出入国手続きの簡素化を実施し、現在の欧州連合(EU)の基礎となったのです。

 前回はこの3国の中で日本にもなじみの深かったオランダ(ネーデルランド)をご紹介しましたが、今回はあまり知られていないルクセンブルクについてお話しします。この国は正確にはルクセンブルク大公国と呼ばれ、ドイツ・ベルギー・フランスに隣接した深い渓谷と緑の森に覆われた小さな国です。

 首都ルクセンブルク市は、渓谷の断崖城壁に囲まれた要塞都市で、街全体が世界文化遺産に指定されており、その景観は訪れた者を圧倒する荘厳な美しさです。また、旧市街と下町を結ぶアドルフ橋から憲法広場まで散策すれば、中世の絵画を見ているようで甲冑を身につけた騎士が現れそうな街です。

 特にボックと呼ばれる断崖からの眺めは壮観で、「北のジブラルタル」の異名をもつ堅固な砦であることが認識できます。眼下に広がる深い緑の森の中には3つのドングリと呼ばれる塔があり、このあたりにルクセンブルクの起源となった領主ジーグフロイト伯が築いた城の城壁があったといわれていますが、現在は跡形もありません。

 しかし、この断崖の下には「ボックの砲台」と呼ばれる18世紀にオーストリアの兵士によって造られた地下要塞が残っています。

 かつてこの国の主要産業は鉄鋼業でしたが、鉄鋼不振となってからは、西欧のほぼ中心に位置する地の利を生かして欧州の金融王国となるべく努力し、今ではロンドンに次いでユーロ市場第2の金融センターの地位を築きました。

 これは閉鎖的だったこの国が、労働力としてポルトガルをはじめとするヨーロッパ各国からの移民を受け入れ、欧州諸国とのビジネスをスムーズに展開させたことが要因とされています。

 ヨーロッパ諸国からの移民が多くなれば、それぞれのお国自慢の料理を提供するレストランやカフェも増えて、ルクセンブルクはグルメ大国にもなりました。

 小国ながら豊かでインターナショナルなルクセンブルクは、まさに「ヨーロッパの宝箱」で、われわれ日本人が学ぶべきことが多い国だと思います。

 ■黒田尚嗣(くろだ・なおつぐ) 慶應義塾大学経済学部卒。現在、クラブツーリズム(株)テーマ旅行部顧問として旅の文化カレッジ「世界遺産講座」を担当し、旅について熱く語る。

 

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