武田薬品、懲罰賠償6120億円評決の波紋 事業・業績への影響懸念も

2014.05.07


揺れる武田薬品。どうする巨額賠償=大阪市中央区【拡大】

 武田薬品工業が糖尿病治療薬「アクトス」の発がんリスクを隠していたとして、米連邦地裁の陪審が同社に対し60億ドル(約6120億円)もの懲罰的賠償金の支払い義務を認めた評決が波紋を呼んでいる。判決ではないため賠償が決まったわけではないが、賠償額としては過去最大級。アクトスの後継薬の開発が中止に追い込まれるなど武田の事業環境は厳しい。6月のクリストフ・ウェバー最高執行責任者(COO)の社長就任を前に武田の前途には大きな壁が立ちふさがっている。

 アクトスの投与が原因でぼうこうがんになったと主張する米国人男性が提訴。原告側は、武田ががんとの関連性について情報提供を怠ったと主張したが、武田は「リスクを隠した認識はなく、がん発症の確かな根拠もない」と反論している。

 結局、米ルイジアナ州ラファイエットの連邦地裁陪審は、販売提携先の米イーライ・リリーにも30億ドル(約3060億円)の賠償支払いを求めた。武田と合わせると、90億ドル(約9180億円)にも上る。

 懲罰的賠償とは、高額の賠償金で加害者に制裁を加えると同時に、同様の事態を引き起こせば多額の賠償が求められることを周知して、再発防止を促すのが目的だ。ただ、懲罰的賠償を課すかどうかや金額は、陪審や裁判官に委ねられている。被害者の状態などへの判断者の「主観」が反映され、賠償額が過大になることもあるという。

 米国ではコーヒーでやけどをした女性がマクドナルドを訴え、約300万ドルの賠償金義務を認めた評決や、たばこ大手5社に対してフロリダ州の喫煙者らが損害賠償を求めた集団訴訟で、総額約1450億ドルの賠償金支払いを命じた評決が有名だ。

 ロイターによると、武田の事案で陪審はわずか1時間10分で問題の責任が武田にあると結論づけ、その後45分で賠償額を決定したという。

 武田のケースも過去にあまり例がない巨額賠償評決だ。武田は「到底承服できず、可能なあらゆる法的手段で争う」とのコメントを出し、評決の取り消しを求める方針を表明している。

 アクトスは武田が1999年に開発し、ピークの2007年度には世界で3962億円を売り上げた。販売額が大きいだけに、賠償額も上がったとみる向きもある。

 カリフォルニア州など複数の裁判所の陪審も昨年、武田に損害賠償支払い義務があると認定したが、判事はいずれも評決を無効とした。業界では「今回も無効の可能性が高い。少なくとも減額はされるだろう」との見方が多い。

 それでも武田が“無傷”で済むとはかぎらない。アクトスをめぐる米国での訴訟は数千件に上るといい、対応だけで相応のコストが必要だ。今回陪審が示した賠償費用が巨額で、業績への影響懸念が膨らみ、武田の株価は4月8日に年初来安値を更新した。

 事業環境も厳しい。アクトスの後継薬開発を進めていたが、一部の患者に肝機能障害を引き起こす可能性がわかり、昨年末に開発中止を発表。世界との激しい競争の中、収益性を高めることは厳しくなっている。

 6月には、長谷川閑史(やすちか)社長がスカウトしたライバル英製薬大手出身のウェバーCOOが社長に就任する。だが、就任前から解決すべき課題は山積みだ。早くもウェバー氏の手腕に注目が集まる事態となっている。

 

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