【日本の解き方】景気落ち込みは一時的なのか 先行き判断上昇に騙されるな

2014.05.17

 内閣府が公表した4月の景気ウオッチャー調査について、景気判断の現状が大きく落ち込んだ一方、先行き判断の上昇は過去最大となったとの報道もあった。消費税増税後の景気の落ち込みは一時的と考えてよいのか、それとも今後も懸念すべき材料はあるのだろうか。

 内閣府の景気ウオッチャー調査は、全国を11地域に分け、仕事を通じて景気の動向を観察できる人々(景気ウオッチャー)から景況感を聞き取るものだ。調査は2000年1月から行われているが、景気ウオッチャーとして、百貨店の売り場主任、ホテルのスタッフ、タクシー運転手など、職業柄、景気の動きに敏感といわれる職種の人を選んでおり、官庁統計の中ではなかなかユニークなものだ。

 実は、この調査は景気の先行きをかなり「当てる」ということで、筆者も内閣府にいたときには重宝した。具体的には、内閣府が公表し、政府の景気の重要判断になっている景気動向指数について、6カ月後の指標を、景気ウオッチャー調査の先行き判断からある程度推測できるのだ。

 もっとも、景気ウオッチャー調査の数字はふれやすいので、その特徴を理解しながら、読み込んでいくことが必要である。

 先行き判断の上昇幅は「過去最大」との報道であるが、それ以前の数字の動きを見ないのは、記憶容量の少ない「小鳥脳」のマスコミらしい。4月の指数は50・3であり、これが3月の34・7から大幅に跳ね上がったことを指している。

 先行き判断は政権交代のあった2012年12月に51・0と50を超えたあと、13年12月の54・7まで、いい状態であった。しかし、1月49・0、2月40・0、3月34・7と急落した。3カ月間の下落幅20・0は、統計を取って以来最大の下げ幅だ。その反動で、4月の指数が跳ね上がったとみるべきだ。

 増税後の景気の動向を占うのは、正直言えば現時点では難しい。消費税導入の1989年と5%に引き上げられた97年を見ても、それぞれ4月の増税後、6カ月程度は消費税増税の影響はあまり現れなかった。

 しかし、6カ月をすぎるあたりから、両者の景気動向には差がつき始める。増税時の景気動向指数を100とすると、1年後になると、89年増税時には103・0、97年増税時には92・6と大きな差がついた。こうしたデータから、本当に見極めがつくのは、少なくとも6カ月超から1年後である。

 景気ウオッチャー調査の先行き判断が6カ月後の景気動向指数の予測に有効であるとしても、現段階ではあと1、2カ月先にならないと判断するのは難しい。その無理を承知の上で、景気動向指数の動きを大胆に予想すると、今のところ、97年増税時に近いような感じだ。

 「増税後の落ち込みは一時的」「想定内」という報道があるが、これは政府や日銀官僚からのリークだろう。彼らが事前にどのような想定をしていたのかわからないので、そうした見方が妥当かどうかも判断困難だ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

 

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