新緑たけなわの米ワシントンで、ハドソン研究所が国際問題についての意見交換会を開催した。出席したのは、主として現職の政治家で、アジア問題についての討論では「日本がようやく本気になって安全保障問題に乗り出した」という好意的な評価が目立った。
「第2次大戦後、日本が初めて安全保障問題について積極的に国民の意見を変えようと動き始めている。オバマ政権は、軍事予算を大幅に切り詰めており、心強い」
中西部の保守系現職下院議員はこう言った。安倍晋三首相が提唱する集団的自衛権についても、ワシントンの政治家は積極的に受けとめている。
ワシントンのジャーナリストや専門家には集団的自衛権について「何のことかよく分からない」という冷たい見方もあるが、日本が初めて国の外の問題、世界の安全保障問題について真剣な論議を始めたことはワシントンで評判がよい。
もう一つ、この会議で取り上げられたのは「憲法の解釈を変えて軍事力を持つ」という安倍首相の考え方である。
「憲法について、それぞれの政府が時に応じた解釈を行ったり、判断を下したりするのは、極めて当たり前」
ハドソン研究所の学者はこう指摘した。憲法を変えず、解釈を変更して新しい国際戦略を展開することは、現在の国際情勢から見て、極めて適切という見方がワシントンでは有力だ。
私は、憲法学者全員にこの問題について聞いたわけではない。だが、政治的にすべてを取り仕切る風潮のワシントンでは、安倍首相の考え方についての批判はほとんど聞かれない。