日本農業に根を張る族議員、農協、官僚の三すくみ 構造改革のカギは?

2014.06.07

 政府の規制改革会議はJA全中が農協の経営指導を行う制度を廃止する旨を提言している。JAからは反発の声も出ているが、JA改革の狙いや、改革実現の可能性を考えてみたい。

 農業問題を語るときに避けて通れないものとして農協がある。全国各地に存在する農協が、本来の弱小農家のための相互扶助組織としてあるのであれば問題ない。

 現実には、農家の大部分は兼業農家となってやせ細る一方で、農協は隆々としてきた。それは、農協が農家、とりわけ兼業農家に対し、農産品の流通や農業資材の販売、金融・保険を事実上独占・寡占してきたからだ。もっとも、兼業農家が自ら大きな付加価値を生み出せないこともあって、農協収益の真の源泉は、兼業農業に対する補助金である。

 このため、農協は大きな政治力を持ち、農産品、とりわけ米の価格維持のための補助金獲得に血まなこになってきた。その結果、「自民党農林族」「農協」「農水省」の農業トライアングル構造が形成されてきた。ここで、農協は兼業農家の代理という立場にもなっている。

 三者の関係は、じゃんけんに似ている。自民党農林族は農水省に強く、農協は自民党農林族に強く、農水省は農協に強い。こうした三すくみの関係になるとトライアングル構造は強固になり、なかなか崩せない。

 しかも、自民党農林族は農協に票を、農協は農水省に補助金を、農水省は自民党農水族に後ろ盾を期待しており、それぞれが既得権になることでトライアングル構造はさらに強まる仕組みだ。

 本来なら、農業を強くするためには、零細な兼業農家ではなく、大規模な専業農家を軸足とすべきだが、この「解」は、トライアングル構造からは決して導かれない。

 こうしたトライアングル構造における既得権を外部の第三者が指摘するのは簡単である。しかし、問題はどのように改革を実行するかである。特に政治家の役割が重要だ。

 ここで自民党農協族を郵政族、農協を郵政、農水省を郵政省と置き直してみれば、郵政問題と似た構造であることがわかる。小泉純一郎元首相は、衆院を解散、腹心の竹中平蔵氏を郵政担当大臣に起用し、その構造をぶっ壊して、民営化という新しいシステムを構築した。

 今回はどの政治家が小泉元首相の役割を担うのか。少なくとも、所管の農水相が本気を示さないと話にならない。林芳正農水相は、能吏で有望な若手政治家である。外交・安全保障から財政・金融政策まで幅広く政策にも詳しい。山口県出身で自民党総裁選にも出馬しており、将来の首相候補である。

 農業トライアングル構造の問題点は簡単。しかし、それをぶち壊す政治力と新たなシステムを作りだす知力が必要。郵政民営化での小泉・竹中コンビの役割だ。林農水相は両者を併せ持った希有な人物である。彼が本気を出すかどうかにJA改革はかかっている。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

 

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