人工的に起きたオクラホマの誘発地震

2014.07.25

 地震学の教科書には、「米国では西岸のカリフォルニア州と北部のアラスカ州だけに地震が起きる」と書いてある。

 しかし情勢は変わった。この6月には米国南部にあるオクラホマ州で起きた地震が全米一になったのだ。

 オクラホマ州では2008年までの30年間に起きた地震は、ごく小さなマグニチュード(M)3まで数えても2回しかなかった。つまり先天的な無地震地帯だった。

 だが09年には20回、10年にはさらに増えて43回の地震が起きた。その後ほとんど毎年増え続けて今年は6月19日までに207回に達した。

 この数は今年の同じ期間でのカリフォルニア州の140回を抜いた。全米一になったのだ。

 地震の数が増えるとともに、最近は大きめの地震も混じるようになっている。7月12日にはM4・3の地震が起きた。

 米国で地震観測を担当するのは米国地質調査所だ。その専門家は「過去半年の地震発生頻度を見ると、さらに大きく破壊的な地震の発生を懸念する理由は十分にある」と警告した。

 このほか7月12日から翌日にかけて7回の地震が相次いだ。棚から物が落ちたり、建物に亀裂が入った。いままで地震がなかっただけに、結構な騒ぎになっている。

 震源は州都オクラホマシティーから北に隣接するローガン郡にかけて広がり、震源の深さは8キロと浅い。

 私が地震学者として思い当たるのはシェールガスの採掘である。前にこの連載で書いたように、近年シェールガスの採掘が盛んになった米国各地で、いままでに起きなかった地震が頻発している。

 オクラホマ州の北東にあるオハイオ州でも地震が起きだしている。同州北部のシェールガス井の周辺だけで起きている地震だ。

 ここでは11年12月31日に同州でかつて起きたことがないM4・0の地震が発生した。このためこの地震後に、その掘削井戸から半径8キロ以内の注入井にまで井戸の閉鎖を拡大した。そのほか11年にはアーカンソー州でも大規模な群発地震が発生して、当局は注入井2カ所の操業を一時停止させた。

 米国内陸部のアーカンソー州、コロラド州、オクラホマ州、ニューメキシコ州、テキサス州でM3以上の地震が、11年段階ですでに20世紀の平均の6倍にも増えている。いずれもシェールガス採掘が最近盛んになった州だ。

 シェールガス採掘には「水圧破砕法」という手法が使われている。化学物質を含む液体を地下深くに超高圧で注入して岩石を破砕する手法だ。これによってシェール(頁岩=けつがん)層に割れ目を作る。そこから層内の原油やガスを取り出すという掘削法である。

 シェールガス採掘に限らない。石油や天然ガスの掘削、ダム、廃液の地下投棄…。地球内部に影響を及ぼすような人工的な作業が地震を起こす例はこのところ世界的に増えている。

 さて、地震がなかった米国内陸部でも被害地震が起きるのだろうか。

 ■島村英紀(しまむら・ひでき) 武蔵野学院大学特任教授。1941年、東京都出身。東大理学部卒、東大大学院修了。理学博士。東大理学部助手を経て、北海道大教授、北大地震火山研究観測センター長、国立極地研究所所長などを歴任。『直下型地震 どう備えるか』(花伝社)など著書多数。

 

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