マクロ経済学の重鎮が「学部レベル」の誤り 実態とは真逆の論を説く不思議 (2/2ページ)

2014.08.07

 まず前段については、日銀が公表している資金循環統計の金融取引表(フロー表)の2013年度分を見ればいい。預金取扱機関のところには、「日銀預け金69・2兆円」と「貸出増1・3兆円」が、「預金増27・6兆円」「証券売却41・0兆円」「その他1・9兆円」で賄われていることがわかる。

 細かい数字の差異は分類の違いなのでいいとして、齊藤氏は「貸出が伸びない」と言いたいのだろう。だが、一般に、貸出は遅行指標だ。というのは、景気の回復局面ではまず在庫減で対応し、次に生産増、それが間に合わないと設備投資になって貸出が伸びる。

 しかも、企業は内部資金対応が先で、外部資金に依存して設備投資になるまで時間がかかる。かつての大恐慌でも本格的な貸出増は2〜3年遅れて起こっている。この意味で、13年に貸出が伸びていないのは当然である。

 しかし、金融取引表の貸出の内訳を見ると、金融緩和当初としてはそれなりに頑張っている。貸出1・3兆円は、民間金融機関貸出24・2兆円、コール減少6・1兆円、債券貸借減少4・8兆円、その他減少12・0兆円と分解でき、民間貸出はそれなりに増加している。

 後段の記述はまったく間違いだ。日銀が民間金融機関から国債を購入し、民間金融機関の日銀預け金が増え、それが家計や企業の預金増になるというのは金融論のイロハだ。これを日銀の資金供給の「買いオペ」というのは、学部学生でも知っている。実際、預金増になっている。

 それにもかかわらず、「民間から資金を吸い上げる」というのであるから、どこか基本を間違っているに違いない。日銀が国債を買うのは資金を供給することなのだが、ひょっとしたら、国債と資金を混同し、それを資金を吸い上げると誤解しているのではないだろうか。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

 

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