懲りない増税論者の行動原理 得するのは既得権益者と財務省

2014.08.19

 4〜6月期GDPに対するエコノミストの反応が面白かった。3カ月前まで、成長率が「マイナス4%」程度で済むと予測し、消費税増税大賛成と政府の背中を押し続けてきたエコノミストが、発表の1週間前に「マイナス7%超」と見通しを修正して、実際の数字が「マイナス6・8%」と公表されると「想定内」とコメントしていたのにはあきれてしまった。

 見通しを外したそういった人たちが、また「7〜9月には再びプラス転換する」などとして、10%への再増税についても問題ないとしている。こうした増税論者の理屈の背景には、何があるのだろうか。

 エコノミスト個人の思想というより、彼らの大半はサラリーマンであるので、所属会社の意向が大きいだろう。サラリーマンは会社の中で出世することが物心ともに最大の幸福になるので、会社の命令を無視して、個人の思想を優先することはまずありえない。

 そもそも会社が増税を応援するのは、財務省にいい顔をしたいからだ。その背後にあるのは、財務省が持っている権力へのすり寄りである。これは、会社にとって具体的な利益になる可能性がある。

 例えば、軽減税率の適用を希望している新聞業界が消費増税に前向きになるのは、軽減税率実現のためには、ある意味で合理的な行動である。その場合、増税論者のロジックを主張しても何ら不思議ではない。

 また、財務省が所管する外為資金の運用者になりたい、もしくは、なっている金融機関の場合、財務省が主張する増税をサポートするのは、営業上当然の話である。逆にお客さまである財務省の主張にわざわざ反対する論を言うはずはない。

 また、政治家や公共団体など、財務省の予算配分の受益者であれば、より多くの予算を獲得するために、財務省の主張を少なくとも表面的には受け入れるだろう。特に増税であれば、その分多くの予算配分が期待できるわけで、増税の力強い応援団になるのはある意味で当然である。

 一般企業であっても、財務省の事実上の内部組織である国税庁、国税局と税務上のトラブルを避けたい場合、財務省の主張について、もし内心反対でもわざわざケンカを売ることはあり得ないだろう。

 財務省の権力は幅広く強力である分、その受益者も広くて多い。このため、財務省をサポートする増税勢力は社会の至る所にいるわけだ。

 大元締めである財務省にとって、増税が実現すれば予算歳出権が拡大し、財務省自体の権力がパワーアップする。それを見越して増税勢力も拡大するといった具合に、財務省と増税勢力の相互作用で増税スパイラルが加速している。

 この増税スパイラルの問題点は、財務省の権力に近い既得権者のみが有利になることだ。増税論者は財政再建のために増税が必要だという大義名分を唱えるが、実は財政再建のために必要なのは増税ではなく経済成長である。この点からみても、成長を鈍化させる過度な増税は国民経済に悪影響で、既得権者の利益にしかならないことが明らかだろう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

 

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