【日の蔭りの中で】京都大学教授・佐伯啓思 歴史観の欺瞞示す朝日虚報 (1/2ページ)

2014.09.16

 私が学生のころといってももう40年ほど前のことだが、朝日新聞は圧倒的な権威をもっていた。いわゆるサヨク全盛の時代である。とりわけ学生にとっては新聞といえば朝日であった。

 その朝日新聞が「炎上」している。例の「従軍慰安婦」に関する報道の一部の誤りを認めたためである。一部といっても、「慰安婦の軍による強制」の根拠になった吉田清治なる人物の証言の虚偽性を認めたのだから、この30年におよぶ朝日の一連の慰安婦に関する報道が虚偽であったというに等しい。今日の日韓関係の出口のない行き詰まりをみれば、この誤報もしくは虚報が与えた負の影響ははかりしれない。今頃になって記事を取り消しても、「大罪」は取り返しのつくものではない。

 さてここで私が気になるのは次のようなことである。

 戦後日本は大東亜戦争を、日本のアジア進出が引き起こした侵略戦争とし、その反省に立って戦後の民主主義、平和主義国家へ転換を果たしたことになっている。戦争を引き起こしたのは世界制覇を意図した軍国主義的な勢力であるとするポツダム宣言を受け入れ、その下でアメリカの占領を認めたのである。

 この歴史観を受け入れる限り、戦後の日本はアジア諸国に対して加害者となる。かくて戦後の日本人はアジア諸国に対するある種の負い目を感じてきた。とりわけ中国、韓国に対してはそうである。

 このような心理的な負い目を背景として、慰安婦問題を執拗(しつよう)に取り上げたのが朝日であった。韓国女性という被害者を持ち出せば、加害者である日本をいくらでも批判できる。しかもこの場合、より特定すれば、加害者は日本政府である。つまり「国」である。だから、慰安婦は「国」による強制でなければならなかった。

 

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