【島地勝彦のサロン ド シマジで大いに燻らす】名著と酒と葉巻があれば充実した幸福な時間に

★(上)

2014.11.05


島地勝彦さん(左)と松岡正剛さん【拡大】

 エッセイストでバーマン、葉巻とウイスキーをこよなく愛する島地勝彦さん。愛煙家のために開いたサロンには、自分が会いたい人だけを招く。今回のゲストは、ウェブ連載「千夜千冊」が1500冊を超えた松岡正剛さん。互いが思う読書の楽しさ、大切さを語り合ってもらった。

 島地 私は本のページを繰るときに起こる風に、悦楽に近いものを感じるんです。

 松岡 デジタルにはない感覚ですね。私が本を好きなのも、「見開き」の本を1ページ1ページ繰りながら読み進められるから。ズルズルと画面をスクロールするのは、トイレットペーパーのようでどうもなじめない。

 島地 私が本好きになったのは、小学校4年生の時に読んだ「アルセーヌ・ルパン全集」がきっかけです。保篠龍緒による日本初訳のもので、毎月発刊されていて、ときめくようなインクのいい香りがしたのを覚えています。

 松岡 紙魚(シミ)の跡があると、なお愛おしいですね。私も、「ルパン」「ホームズ」「ハックルベリー・フィン」「十五少年漂流記」「モンテ・クリスト伯」などを軒並み読みました。

 島地 「モンテ・クリスト伯」は小説の滋養強壮剤。読めば必ず元気になれる。大人になってからも何度も読み返しています。

 松岡 子どもが本を読まなくなったといわれるけれど、面白い本はたくさんあるし、読めば夢中になれる。それに、漢字にふられたルビは迷った道を正してくれます。大人になって本を読み始めるのは難しいので、早いうちに読書習慣を身につけてほしいものです。

 島地 それが人生の中で必ず生きてくる。私は今、風雪に耐えた名著とシングルモルトウイスキーと葉巻があれば、それだけで充実した幸福な時間を過ごせます。

 松岡 ウイスキーでも葉巻でも、あるいはカメラでも花でも、自分が好きなものに本が加われば、人生にコクが生まれると思うんです。例えばサッカー好きの人が「オフサイドというのは何て不思議なルールなんだろう」と思うなら、「オフサイドはなぜ反則か」(中村敏雄著)という本を読むといい。オフサイドが生まれた理由がわかるだけでなく、スポーツの歴史や文化なども広く教えてくれるはずです。

 島地 それが本を読む楽しさ、大切さですね。 (明日へ続く)

 ■松岡正剛(まつおか・せいごう) 雑誌『遊』編集長などを経て、現在編集工学研究所所長、イシス編集学校校長。日本文化、芸術、生命哲学、システム工学など多方面におよぶ思索から情報文化技術に応用する「編集工学」を確立。

 ■島地勝彦(しまじ・かつひこ) 1941年東京生まれ。「週刊プレイボーイ」他の編集長を経てエッセイスト&バーマンに。喫煙文化研究会会員。新著「バーカウンターは人生の勉強机である」(ペンブックス)好評発売中。

 

注目情報(PR)

産経デジタルサービス

産経アプリスタ

アプリやスマホの情報・レビューが満載。オススメアプリやiPhone・Androidの使いこなし術も楽しめます。

産経オンライン英会話

90%以上の受講生が継続。ISO認証取得で安心品質のマンツーマン英会話が毎日受講できて月5980円!《体験2回無料》

サイクリスト

ツール・ド・フランスから自転車通勤、ロードバイク試乗記まで、サイクリングのあらゆる楽しみを届けます。

ソナエ

自分らしく人生を仕上げる終活情報を提供。お墓のご相談には「産経ソナエ終活センター」が親身に対応します。