【島地勝彦のサロン ド シマジで大いに燻らす】自分なりの読書スタイルを持てば本は一層楽しい 

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2014.11.06


松岡正剛さん【拡大】

 島地さんが出版社に勤めていたころ、業界は3兆円産業といわれていた。それが今は1兆円を切る時代。「これは由々しきこと」とお二人は嘆く。ではどうすれば、人々の“本離れ”に歯止めをかけられるのか。お二人の読書スタイルに、その大いなるヒントが隠されている。

 松岡 本には、グルメの世界のように誰がどの店に行きどんな料理にこだわっているかという情報がない。それがあれば本に興味を持つ人も増えてくると思うのですが。

 島地 松岡さんのウェブ連載「千夜千冊」があるじゃないですか。あのサイトに入ると、ライブラリーを彷徨っている感覚になります。及ばずながら私も伊勢丹の「サロン・ド・シマジ」で自分の推薦図書を販売しています。シュテファン・ツヴァイクの「人類の星の時間」が60冊も売れる店は他にありませんよ(笑)。

 松岡 島地さんのような「読者モデル」が必要なんです。それが増えれば、本はネクタイや靴下を選んだり、フランスパンと食パンのどちらにするかという感覚で、親しむことができるようになる。そもそも本を知的なものだと思う偏見が間違っています。

 島地 その通り。本は素敵な暇つぶしです。

 松岡 しかもいろんな奴がいて、それぞれに異なる喜怒哀楽がある。本は「交際」でもあります。

 島地 わかるなあ。自分が読むべき本は、書店へ行くと向こうから「読んでください」と訴えてくる。女が「抱いて〜」と言うように。

 松岡 そんな本を手にすると、ドギマギして一刻も早く読みたくなります。

 島地 そういう松岡さんの読書スタイルは?

 松岡 私は、読書に疲れるとそれを癒やすために別の本を開き、それに退屈するとまた違う本を読むんです。そして、新しい本を開くときは服を着替えます。姿勢を正したり、逆に自分をラフな感じにするために。

 島地 それはスゴイなあ。

 松岡 本は昔音読していたので、黙読でも口唇が少し反応するんです。たばこを吸う動きが口元を刺激するリズムは音読のそれにぴったりなので、たばこも欠かせません。

 島地 間違いなく言えるのは、ニコチンは脳を覚醒させてくれるということ。だから私も読書中、パイプが手放せません。そういう自分なりの読書スタイルを持てば、本は一層楽しくなりますね。

 ■松岡正剛(まつおか・せいごう) 雑誌『遊』編集長などを経て、現在編集工学研究所所長、イシス編集学校校長。日本文化、芸術、生命哲学、システム工学など多方面におよぶ思索から情報文化技術に応用する「編集工学」を確立。

 ■島地勝彦(しまじ・かつひこ) 1941年東京生まれ。「週刊プレイボーイ」他の編集長を経てエッセイスト&バーマンに。喫煙文化研究会会員。新著「バーカウンターは人生の勉強机である」(ペンブックス)好評発売中。

 

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