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日本語の「勝てば官軍」ということわざは見事である。短いフレーズに戦争の「真理」が凝縮されている。両者が戦争に至った経緯や社会背景、その後の経過、戦時中の出来事、勝利を得た手段などにかかわらず、最終的に勝った側が「官軍」、すなわち「正義」を語る権利を得るのだ。恐らくこれは時代や洋の東西を問わず、永遠の真理だと思う。
勝利によって「正義」を得た側は、過去の味方の不正義と、敵の正義を隠蔽する。日本の近代史で言えば戊辰戦争で倒幕軍が掲げた「錦の御旗」は薩摩藩・長州藩が作成した偽物だった。つまり明らかな不正義である。
しかし、これが討幕軍の士気を高め、徳川幕府側の動揺を誘うなど、大いに効果を発揮した。戦争終結後、明治新政府による真実の隠蔽、正当化、情報操作などが行われただろうことは想像に難くないが、今さら徳川家の子孫が文句を言ったところで後の祭りである。
さて、連載第1回でも書いたとおり、先の戦争が日本の「侵略戦争」だったという話は、GHQ(連合国軍総司令部)によるプロパガンダである。つまり「勝てた官軍」の情報操作なのだ。1951年5月3日にマッカーサー元帥自身が「日本の戦争の動機は主に安全保障(自衛)であり、やむを得ず行われた」と、米上院の軍事外交合同委員会で証言したのだから間違いない。彼以上に先の戦争に関する真実を隅々まで知る当事者が他にいるだろうか。
いや、実は「自衛か侵略か」よりも重要な、真剣に議論すべき問題が、終戦から約70年経過した現在も無視されている。
それは20世紀半ばまで、先進国による発展途上国(≒有色人種の国)の植民地化に疑問を持つ白人国家は皆無だったという恥ずべき事実である。




