最近、都心の超高級マンションの売り上げが好調だ。億単位の高い物件から売れ、「不動産バブル再来」ともいわれる。アベノミクスによる大幅な金融緩和によって、一部の富裕層が投資目的で購入するのに加え、中国人富裕層も円安の影響でこれまで以上に都心部の不動産に目をつけている。
私の地元の東京・麻布十番の土地価格も少し動き始めている。今後、日銀が追加の質的・量的金融緩和をすると、土地や商業用ビルにさらにカネが流れ、都心部の不動産価格が上がるかもしれない。
ということで、最近、「不動産バブルの生き証人」の私に「バブルは再びきますか?」と尋ねる人も多い。皆、景気のいい答えを期待しているようだ。しかし、「こない」と答えるしかない。なぜか。
30年近く前のバブル経済初期、都心部の一等地から高騰し始めた地価は地方にも広がった。しかし今回、地価上昇は都心の一部だけで、郊外や地方はまったく動いていない。茨城の高級住宅地に住むゴルフ仲間に、「アナタのところはいくらするの?」と聞くと、「坪9万円もしない」。ほとんど二束三文だ。
また、東京郊外では逆に不動産価格破壊が起きている。徹底したコスト管理で、30坪4LDKの新築一戸建てを2000万円台で売る会社もある。駅から遠い物件になると1000万円台。不動産デフレ現象だ。