【湯浅博の世界読解】勢力圏を拡大する中国に「抵抗」か「恭順」か  (1/2ページ)

2015.01.22

 最近、中国専門家の話を聞く機会が多い。共通しているのは、いまの中国経済は足踏みしているものの、持てる経済力を武器に周辺国を巧みに抱き込んでいるという説明だ。典型例が中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設であり、南シナ海で対立しているベトナムもフィリピンもインドネシアまでもが加盟すると解説する。

 自信に満ちた習近平政権は、その勢いに乗って「大国外交」をいっそう強めよう。専門家らはその強さに影響されてか代弁なのか、「日米がAIIBに反対して、蚊帳の外でいいのだろうか」と問いかける。経済関係が深まれば、安全保障も確保されるとの考え方が背後にある。

 対する戦略の専門家は、経済の相互依存が進んでも友好が深まるとは限らず、むしろ不安や摩擦を引き起こすと警告する。シカゴ大学のミアシャイマー教授は『大国政治の悲劇』で、第一次大戦前の英国とドイツは主要な貿易相手国だったが、経済的な結びつきが英独関係の悪化を食い止めることはなかったという。米中の経済的な結びつきも、為替相場操作の疑いや対中貿易の極端な赤字でかえって紛争のタネになる。

 他方、東南アジアの国々は国益のためにどの大国を活用するかを考える傾向がある。たとえAIIBに加盟しても、主権侵害には海洋防衛力を使って阻止する意思を示し、かつ巧みな外交ですり抜けようとする。東南アジア版の「関与とヘッジ(備え)」である。

 ほぼ全域を「中国の海」だとする南シナ海で、中国はとりわけ強硬な態度に出る。これに対する東南アジアの沿岸国は、中国との距離に応じて「抵抗」と「恭順」という相反する2つの政策を使い分けている。中国に近接する国ほど強い圧力を感じ、それをすり抜ける外交術で「恭順度」は高くなる。その典型例は北の国境を中国と接し、過去に中越戦争も経験しているベトナムである。

 

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