実質金利を知らないなら、せめてその意味やその数値の推移を質問すべきだった。実質金利とは、名目金利から予想インフレ率を引いたもので、それが下がれば、消費、投資、輸出それぞれに好影響が出ることを、岩田副総裁は説明しただろう。
参議院は「良識の府」と呼ばれる。しかし、説明を拒むのは良識があるとはいえない。米国でも下院では時たまトンデモない質問が出るときがあるが、上院ではかなり専門的な話ばかりである。
民主党でも金子洋一参院議員のように、よく理解している者もいる。彼は、財政金融委員会ではなく、国土交通委員会に属しているが、民主党とは人の使い方を知らないところだ。
ところで、前川議員は奈良県選出で、かつては馬淵澄夫衆院議員を党代表に担いでいた。馬淵議員も民主党内では数少ない金融政策を理解している人だ。
こうした人たちが党の金融政策で前面に出ないというのは、民主党自体が金融政策を理解していないことを公言したようなものだ。金融政策が無理解なままでは雇用を増やせないということを肝に銘ずるべきだ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)