沖縄・石垣島には漁師がまちがって人魚を捕まえてしまったという伝説がある。
その人魚を海に帰してあげたお礼に人魚から大津波が来ることを教えられた。信じる人たちは山に登って避難したが、信じない人たちは村に残り、村は津波に飲み込まれてしまった。
この津波は1771年の「明和の大津波」。宮古・八重山の両列島で死者行方不明者が1万2000人以上にものぼった。
東日本大震災が日本海溝に潜り込む太平洋プレートが起こしたのと同じように、こちらは琉球海溝から潜り込むフィリピン海プレートが大津波を起こしたのだ。津波の高さが100メートルにも達した日本史上最大の津波といわれてきた。
石垣島の東海岸には途方もない大きさの石がいくつも転がっている。大きなものは大型バス2台が並列駐車したくらいの岩で、重さは1000トンもある。上に大きな木が茂っている。
これらの巨岩はサンゴが作った石灰岩である。かつての大津波が海底から持ってきたものだ。
この巨岩がいつの津波で上がってきたものか、最近の研究で明らかになってきている。
その手法は「堆積残留磁化」を利用するものだ。サンゴが石灰岩になったり、マリンスノーが海底に降り積もるときには、そのときの地球の南北を憶えている。その後の津波で転がって向きが変われば、回転した角度が分かる。海底から海岸に打ち上げられたときに回転しないことはまずないから、回転が分かることは、その岩が打ち上げられたことを意味しているのである。
その後も微弱ながらその後の南北を憶えている。それゆえ再び大津波に襲われて転べば、その岩の磁化から何遍回転したかが分かる。



