捜査関係者は「楽観視はしていないが、時代や法律も違う」と指摘し、こう解説する。「新組織が結成されれば暴対法に基づいて暴力団として指定する。2012年の暴対法改正で、指定暴力団のうち抗争状態にあり、市民の身体に重大な危害を加えるおそれがある場合、『特別抗争指定暴力団』に指定できるようになった。指定されると、組事務所への立ち入りができないほか、警戒区域内で組員が5人以上で集まるだけで即逮捕できる。むしろ山口組壊滅のチャンスだととらえ、捜査を強化していきたい」
元山口組系組長も「昔のような大きな抗争はない。というか、できないし、そんな力もない。6代目体制は歴代組長の墓参りを欠かさないなど、表向きは任侠道にのっとっているようだが、5代目体制以上に拝金主義がはびこっているうえ、仲間をスパイするなど内情はひどい。今回の騒動にあきれて引退する者も出てくるのでは」と話す。
山口組は9月1日、総本部で直系組長らを集め、定例会を開く予定だ。どんな通達が出されるか、注目される。
■山口組 神戸市を拠点とする国内最大の指定暴力団。山口春吉組長が1915年に結成、実子の登組長が25年に2代目となり、労働者供給事業で資金を得ていた。戦後就任した3代目の田岡一雄組長が全国勢力に拡大させた。警察庁によると、2014年末時点で、山形、広島、沖縄を除く44都道府県に進出。構成員は約1万300人で、準構成員らを含めると約2万3400人。全国の暴力団関係者の約43%を占める。