【大前研一のニュース時評】日本郵政上場 減衰している経常利益の推移 成長シナリオなく疑問だらけ (1/2ページ)

2015.09.20


日本郵政の西室泰三社長。上場は投資家の納得を得られるか?【拡大】

 政府が株式を100%保有する日本郵政と、傘下のゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の東証1部への株式上場が10日、承認された。政府は日本郵政の株式を、日本郵政はゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式をそれぞれ11%分、売り出す。上場日は11月4日。上場時に想定される時価総額は3社あわせて13兆円を超える見通しで、1987年2月に上場したNTTの約25兆円に次ぐ規模になる。

 日本郵政の株式の売却益約1兆4000億円は、すべて東日本大震災の復興事業の財源に充てられることが決まっている。2005年、当時の小泉純一郎首相が郵政選挙に勝利し、郵政民営化法によって日本郵政は公社から株式会社になった。小泉元首相の郵政改革は本来、上場の売却益を日本の借金返済に使うことだった。しかし、11年に東日本大震災が起こり、その復興に充てることに変わってしまったわけだ。

 日本郵政は、全国2万4000余りの郵便局のネットワークを使って郵便、貯金、保険事業を行い、この3月期の経常収益はグループ全体で約14兆円(純利益は5000億円程度)に上る。ただ、ゆうちょとかんぽはそこそこ利益を出しているが、郵便事業は同じ3月期で103億円の赤字だ。

 日本郵便は、全体の決算では154億円の黒字になっているが、それは金融2社や他の金融機関から窓口での代理業務の手数料を受け取っているからだ。その額、およそ1兆円という。

 今回、「全国一律のサービス提供が必要だ」ということで、日本郵便は上場しない。先行きの暗い郵便事業を隠して、ゆうちょ、かんぽの金融2社を表に出してきたわけだ。だが、上場されるゆうちょ銀行やかんぽ生命の株主から見れば、窓口代理業務という内部取引に膨大な支払いをしていることをどう説明するのだろうか。

 

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