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韓国が60年以上も不法占拠する島根県・竹島(韓国名・独島)の現状を取材するため、私は竹島訪問の拠点である日本海に浮かぶ鬱陵(ウルルン)島を訪ねた。
警察官まで登場した、すったもんだの末、ようやく竹島行きのフェリーに乗船した。警察官の「日本語を話すなよ」というアドバイスに従って、無言の1時間半を過ごし、ようやく目的の島にたどり着いた。
警備の都合上、上陸時間は20分しかないという。「間もなく到着します」という船内アナウンスが聞こえると、韓国人らの観光客たちは入り口に殺到した。
船が接岸すると、桟橋はアッという間に太極旗を掲げて記念撮影に興じる観光客であふれかえった。それぞれの愛国心に思いをはせているのだろうか、全員が満面の笑顔を見せていた。
しばらくすると、背後に人の気配を感じた。警察だろうか…。意を決して声を掛けた。
「私を見張っているんですか?」
「いや別に」
日本人がおかしなことをしないか監視するつもりのようだ。鬱陵島の警察官から連絡があったのだろう。気を取り直して周囲を見回すと、目に飛び込んできたのが銃を構える独島警備隊だった。
両側には笑顔を振りまく家族連れや、同じポーズで勇ましい表情を見せる男性の姿が。どうやら警備隊員との記念撮影がお決まりのコースのようだ。
せっかく来たのだから、私も日本人とバレないように記念撮影をお願いした。と、その時、視界の端で奇妙な動きをする人物がいた。先ほどの監視員である。予想外の事態に驚いてか「はっ!」という声をあげた。