悲しきストーカー(4) 「考えがある」耕史が取った手段は

★悲しきストーカー(4)

2016.01.22

 佐久間佳代(26)=仮名=はストーカーの正体を知り、それを恋人である蒼井耕史(30)=同=に相談した。

 ストーカーは赤間照人(53)=同=と言い、妻を亡くしたせいで精神を病み、面影を他の女性に重ねて悲しみを紛らわせているのだった。

 「それは気の毒な話だな…」

 耕史は理由を知って、同情を寄せた。

 「警察に届けるっていうのも、ねぇ…」

 それもどこか心苦しい。

 「でも、何かあってからじゃ遅いしな」

 「そうだけど…」

 「分かった。俺に考えがある。少しだけ時間をくれないか」

 耕史の考えはこうだ。

 グラフィックデザイナーである自分がコンピューターで架空の人物を作り出す。その女性のSNSのアカウントを取得し、あたかもこの世に存在しているかのように見せてストーカーの標的を他に移す−というのだ。

 耕史にとってはいともたやすい作業だった。

 警察には念のために相談しておくことにした。

 何かあれば駆けつけてもらえる手はずだけは整えておいた。画像はすぐにできあがった。長い黒い髪が特徴的で、海が好きな一般的な女性。さまざまなポーズやシチュエーションで何枚も用意された。

 赤間を女性のアカウントへと誘導する。

 すると翌日から、佳代へのストーカー行為がピタリと収まった。まったく姿を現さなくなり、平穏な日々が戻ってきた。

 「これでよかったのかな…」

 佳代はいたたまれない気持ちになった。

 世間では、こうした犯罪も多発している。

 架空の人物を作り出し、男性と接触して金を請求するという出会い系サイトのような手口だ。

 一歩間違えば、自分も加害者になりかねない状況だ。かといってストーカー行為を放っておくわけにもいかない。

 「どうだろ。難しいね…」

 耕史も自分の出した案ながら、憂いは隠せない様子だった。男は今も、この世に存在しない女性を追い続けているに違いない。 =この項おわり

 (6線ストライプ制作/川島光明)

 

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