隣の美女の正体(2) 壁の向こうから女性の怒鳴り声が

★隣の美女の正体(2)

2016.02.10

 向田一喜(30)=仮名=は、妻の真衣(30)=同=と自宅のマンションで遅めの夕食をとっていた。

 まだ引っ越してきたばかりの室内には、家具らしい家具もなく、日常生活を送るのに必要な最小限の家電が揃っているだけだった。

 「そういえば、今朝エレベーターに乗るとき、お隣の奥さんと一緒になったよ」

 そう言いながら一喜は今朝、隣室の水原香奈(26)=同=と一緒に乗り込んだエレベーターの中で嗅いだ、彼女の香水の匂いを思い出していた。バニラのような甘い香りが清楚な香奈のイメージにピッタリだった。

 「仕事は何をしているんだろうね」

 旦那さんの職業はシステムエンジニア、奥さんは大企業のOLではないか−。2人はそんなことを言い合っていた。

 「そういえば真衣って香水つけないよね」

 「だって、職場で香水なんてつけていたら、お局さんから目を付けられちゃうもん」

 「なるほど。女は大変なんだね」

 真衣の言う通り、香水をつけて仕事に行くのは色々と問題があるのかもしれない。

 香奈からは、かなり強い匂いが漂っていたが、会社では大丈夫なのだろうか−。

 その日の夜、一喜は先に寝てしまった真衣の隣でスマートフォンをいじっていた。休日に買いに行くつもりのソファーを物色していると、壁の向こうから怒鳴り声が聞こえた。

 「夫婦喧嘩かな」

 しかし、その怒鳴り声が男性のものではなく、女性の声だと気がつくと隣室の様子が気になり始めた。不明瞭で何を言っているのかまではわからないが、誰かを罵るような声が壁の向こうで響いている。

 「隣の部屋?」

 眠りの浅い真衣がその声を聞いて目を覚ます。その後も1時間ほど喧嘩は続き、真衣の機嫌が悪くなってきたころにやっと静かになった。

 「道路工事よりも自分たちの喧嘩のほうがうるさいじゃないか」

 一喜はそう思いながらも、あの大人しそうな香奈が、あんな大声を上げて夫婦喧嘩をするということが意外だった。 (つづく)

 

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