日銀が始めたマイナス金利政策について、テレビの報道などでは、もっぱらマイナス面が強調されている。
「マイナス金利」という言葉からの連想が働いているのかもしれないが、注意しておくべきなのは、テレビなどでの金融政策の解説は、ほとんどが金融機関の関係者によって行われるということだ。
このため、金融機関の損得を念頭に置いて解説を聞かないと、とんでもなく偏りのある情報を入れてしまいかねない。
多くの金融関係者が解説する「マイナス面」は、あくまで金融機関にとっての話だ。一般にマイナス金利になると金利は低下するが、貸出や運用金利の低下幅の方が預金金利より大きい。
金融機関には経営圧迫になるのだが、逆にいえば、一般国民にとってはプラスである。
まず、預金金利はほぼゼロの状態なので、下がったとしてもマイナスは極めて小さい。もし預金金利がマイナスになるなら、銀行に預けなければいいだけだ。
あるインターネット専業銀行の普通預金金利が、0・02%から0・001%に引き下げられ、20分の1になった−という報道があった。数字自体は正しいが、100万円の普通預金の利息が年200円から10円になる程度だ。
一方、貸出金利も下がるが、家計はこの恩恵を受ける。住宅ローンの固定金利は、10年物国債の利回りに影響を受ける。典型的なものは、住宅金融支援機構と民間金融機関が共同で提供する長期固定金利の住宅ローン「フラット35」だ。
扱う金融機関によって、金利や手数料体系が異なるが、35年固定タイプで金利1・5〜2%程度、手数料は定額3万円程度のものや、融資額に比例するものがある。