指定暴力団山口組(総本部・神戸市灘区)と分裂した暴力団、神戸山口組(本部・兵庫県淡路市)の対立抗争。関東で活動する神戸側の組幹部が集まる「定例会」をめぐって15日に東京・歌舞伎町(新宿区)などで危険視されていた両団体による衝突が回避された。都内の繁華街が抗争の舞台になる事態は避けられたが、安心はできない。新たな衝突Xデーとして「3・20」が急浮上。警察当局が警戒スポットとして池袋、上野、渋谷など複数の繁華街をリストアップしているという。
神戸山口組の定例会が予定された15日午後、歌舞伎町には張り詰めた空気が漂っていた。
行き交う観光客に混じって辺りをうろつく暴力団関係者らしき男たち。通りのあちこちで私服警察官がにらみをきかせ、テレビカメラを担いだ取材クルーや一眼カメラを抱えるカメラマンが忙しなく歩き回る。彼らは一様に、この日に発生することが予想された“有事”を警戒していた。
「歌舞伎町で、都内で活動する神戸側の定例会が行われるとの情報が流れていた。そのため、管轄の新宿署が署員に待機をかけるなど特別態勢を敷いていた」(捜査関係者)
先月15日に同所で開かれた定例会で発生した双方の組員による集団暴行事件も、警戒レベルを上げさせる一因となった。
神戸側の会合の会場になるとみられた喫茶店の入り口前には、スモーク張りの高級セダン車が横付けされ、ダークスーツやジャージーに身を包んだ一団が険しい顔つきで付近を見回している。
会合は開かれることはなく、衝突も起きなかったが、その裏では神戸側と山口組側、警察当局との間で三つどもえの“暗闘”が繰り広げられていた。