多くの犠牲者を生む「火山泥流」 新学説、積雪期以外も注意を (1/2ページ)

2016.05.27

北海道の十勝岳。1988年にも泥流を発生させる噴火が起きた
北海道の十勝岳。1988年にも泥流を発生させる噴火が起きた【拡大】

 日本最大級の火山泥流が発生してから90年がたった。これは、1926年5月24日、北海道中央部にある十勝岳(2077メートル)が噴火して大規模な火山泥流が人々を襲ったものだ。

 「泥流」といっても生やさしいものではない。岩や石を巻きこみ、家や木を次々になぎ倒して進んだ。泥流はわずか25分後には25キロも下流の上富良野(かみふらの)市街地を襲い、144人の死者・行方不明者を生んだ。平均時速は自動車なみの時速60キロだった。

 この噴火では、大規模な水蒸気爆発が起きて中央火口丘が崩壊、岩屑(がんせつ)なだれは噴火から1分で火口から2・4キロのところにあった硫黄鉱山の宿舎をのみ込んだ。そして山頂付近の残雪を溶かして泥流が発生したのだ。

 5月の末は、北海道の山は、まだ雪に覆われている。雪の下で火山が噴火した最悪の例として海外の火山学者にも広く知られた噴火だった。

 泥流は美瑛(びえい)川と富良野川の二つに沿って流れ下った。川は十勝岳から上富良野まで直線的には流れていない。泥流は二筋の川がカーブしているとおりに流れ下ったのである。

 だが、近年、この「定説」を覆す学説が出てきた。十勝岳にあった雪を全部溶かしたよりも多くの水量が下流を襲ったことが分かったからだ。

 このため、噴火が雪を溶かしただけではなく、火山の内部で大量の熱水が作られて、それが噴出したのではないかという学説が出されたのである。

 だとすれば、積雪期の火山ではなくても、火山泥流が生まれる可能性がある。いままでは積雪期の噴火だけを恐れていたが、雪が積もっていないほかの火山でも内部で大量の熱水ができて起きる事件かもしれないのだ。

 しかし、この熱水説には反論もある。いったん泥流が生まれると、普段の沢水より高速で流れ下るので、沢水や砂利をどんどん巻き込んで全体の流量がはるかに増えるという説なのである。

 

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