認知症になっていない人も、香りをかげば脳の血流が上がることから、予防の効果が期待できるという。
塩田氏は「かんきつ系の香りであれば、グレープフルーツやユズなどでもいい」と説明。だが、「実験の肝は毎日午前中、2時間かぎ続けること」のため、生の果物で実践するのは現実的ではない。
「実験では私たちが開発した『レモングラスの原液』をディフューザー(霧を拡散させる装置)で拡散させたが、アロマセラピーで用いられるエッセンシャルオイル(精油)でも同様の効果が得られる。ディフューザーがない場合は、マスクの内側にオイルを吹き付けて着用する方法もある」(塩田氏)
気をつけたいのは、香りをかぐ時間帯で、交感神経を高めるため、就寝前は避けた方がいい。
厚生労働省によると、2025年、団塊の世代は75歳以上となり、国内の65歳以上の高齢者のうち5人に1人にあたる700万人が認知症を患うことになる。
症状が進み、やがて肉親の顔も分からなくなる−。そんな悲劇が、レモングラスで解消される日が来るかもしれない。 =おわり