スピーチ上手の極意を教える。話が終わった後、みんなが「ああ今日あの人の話を聞けてよかった」と思わせることだ。それが真の雄弁。
「どうですか、みなさん。学校の先生がデモで道をジグザグに歩いておって、子供だけに『真っすぐ歩きなさい』なんて、これ聞くもんじゃないねぇ。(先生が)校長の言うことは聞かない、校長が首をくくるところまで追い込む。それで『労働者でござぁーい』とくる。そんなバカなことが許されますか。教育は民族悠久の生命なのであります!」
「東京では小中学校を週休2日制にしてはどうかとやっている。私は反対だ。夏か冬にまとめて休ませた方がいい。都会の狭い鳥かごみたいな家に、大きなお父さんが土日もゴロゴロしてたら、おっかさんはたまったもんじゃないねぇ(笑)。子供にまでまとわりつかれたら、おっかさんは生きていられない(爆笑)」
「子供は毎日教え込まないとダメなんです。サーカスの動物だって、1日ムチをやらないと、一から出直しどころか、訓練そのものがパーになっちまう。子供も週に2日もブラブラしてたら、元に戻ってしまう。教育とは、そういうもんじゃないですか、みなさん!」
田中角栄のスピーチ、演説は「角栄節」と言われ、田中人気を支えた魅力の1つであった。
絶妙の「間」の取り方、比喩、例え話をふんだんに織り交ぜて笑いを誘いつつ、突然、トーンを変えて数字の速射砲を浴びせかけて、聞き手の目を覚まさせる。数字の裏付けは、何より強力な説得力になるのである。