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日本の国力は、電力によって支えられている。
砂漠と、ナツメヤシとラクダと、石油が噴出する国々が集中するアラビア半島に、日本はエネルギーの80%以上を依存している。
シリアはアラビア半島の脇にあるが、過激派組織「イスラム国」(IS)と、米国、ロシア、英国、フランス、シリアのアサド政権、反体制派、トルコ、イラク、イラン、レバノンのヒズボラ、クルド族、諸派の軍や民兵が入り乱れて、死闘を繰り広げている。出口が見えない。
私はワシントンを訪れて、安全保障の関係者に「中国とサウジアラビアのどちらが先に崩壊するか、賭けをしよう」というが、賭けが成立しない。全員が私と同意見で「サウジアラビアだ」と答える。
サウジアラビアにISの不気味な黒い旗が翻る可能性は、かなり高いものがある。ISは、イスラム原理主義のイデオロギーだ。イデオロギーはいくら爆撃しても、粉砕できない。
もし、サウジアラビアが崩壊して、アラビア半島が混乱に陥れば、日本は原子力発電所の稼働をほぼ止めているから電力が止まって、“蛍の光、窓の雪”の生活を強いられることになる。
サウジアラビアと中国は、3000万人対14億人と人口こそ違うが、双生児(ふたご)のように、よく似ている。