電車と動物の衝突事故で損害「年間数千万円」 鉄道各社、抜本的な対策なく苦慮

2016.12.31

早朝に近鉄東青山駅付近の線路を横断するシカ=今年2月、三重県津市(近鉄提供)
早朝に近鉄東青山駅付近の線路を横断するシカ=今年2月、三重県津市(近鉄提供)【拡大】

  • <p>近鉄が導入したシカよけ装置のイメージ</p>

 多発するシカやイノシシなどの動物と電車との衝突事故は、電鉄会社にとって深刻な問題となっている。

 近鉄では昨年、シカなどの動物と電車が衝突する事故が過去最多の313件発生。部分運休や代替車両の手配などを余儀なくされるケースもあるといい、損害は年間数千万円に上るとみられている。

 特に近年は、狩猟者の減少や、過疎化による里山の荒廃で野生動物の行動範囲が拡大し、接触事故は急増傾向にある。近鉄によると今回の鹿踏切が設置された東青山駅周辺では、10年ほど前は年間2〜3件程度だったという。

 また、シカが線路に近づくのは、生息域の中に位置するほか、鉄分を補給するために線路をなめる習性もあるとされている。

 このため、各鉄道会社は対策に苦慮する。JR西日本はシカなどが嫌うオオカミの尿を使った薬剤を線路付近に散布、近鉄も鹿踏切前は線路脇に発光ダイオードの付いたボールを設置するなどの対策を試みているが、大きな効果をあげるまでには至っていない。

 一方、JR東海は、衝突を前提に、一部の山間部の区間で特急電車の先頭車両にスポンジゴム製の緩衝装置を取り付ける。「運転再開までの時間が短くなった」というが、抜本的な対策とはなっていない。

 こうした中で、効果が実証された形の「鹿踏切」。国土交通省によると、昨年度、動物によって運休や30分以上の遅れが発生した事例は全国で428件に達している。考案した近鉄の匹田雄史さんは「シカを排除するのではなく、共存する仕組みで、互いによい関係を続けられたら」と話している。

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